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建築家に学ぶ、良いデザインとは

旧宅のエッセンスを取り入れた新しい家

今回は先代より受け継いだ家の建て替えのご紹介です。
愛着のある旧宅を新築する決心をしたお施主様のために、旧宅の要素を上手く残して設計された山口さんのデザインを見ていきましょう。

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建築家 山口智久

建築家 山口智久
建築設計工房BO5

1968年神奈川県生まれ。1991年宇都宮大学工学部建築工学科卒業。
1991年に設計組織ADH入社(2009年よりパートナー)。2015年に建築設計工房BO5を設立。
山口さんが家づくりでもっとも大切にされているのは、「コミュニケーション」。
施主・設計者・施工者それぞれの間でしっかりと良好なコミュニケーションをとることで信頼関係を築き、舵を同じ方向に向けた結果、より良い住まいができるというのが山口さんのお考えです。
そうして出来た住まいが、家族間での対話を図れるような明るく心地よい居場所になることが山口さんの望みです。

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玄関の扉を開けると右側にルーバー壁が並び、その奥がリビングとなっています。以前の住居の面影を残すため、照明は旧宅で使われていたものをそのまま使用しました。

記憶を継承する住宅デザイン

今回の計画は、お施主様が先代より引き継ぎ長年住んできた家の建て替えプランです。
お施主様はこの旧宅にとても愛着を持たれており、当初のご相談は建て替えではなく耐震補強などの改修をして引き続き住めないかというものでした。そして改修か新築か迷われた結果、断腸の思いで新築に踏み切ったとのことです。
初回のヒアリングは旧宅で行われました。
外観にルーバー状の化粧壁が施されていたり、玄関ホールから各部屋にアプローチする「ホール型」であったり、山口さんはこの旧宅からたくさんの魅力を感じ取りました。そこで新築を建てる際に考えた計画は、「記憶の継承」でした。日々の生活の中で、自然と「あぁ前の家もこんな感じだったなぁ」と感じられるような家を作ることが、新宅の住み心地の良さにつながると考えました。その事から山口さんは旧宅をそのままコピーするのではなく、良い部分をエッセンスとして取り入れることにしました。
まず外観は旧宅同様にルーバー壁を取り入れました。
人の出入りを目隠しする機能のほかに、天然木を素材に使用することで明るく暖かい印象を与えています。
ルーバー壁は外観だけでなく家の中にも取り入れ、旧宅の面影を感じられるようになっています。
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子供部屋のある2階への階段は、家族とのコミュニケーションを促すためリビングに配置しました。吹き抜けの窓から光が降り注ぐ明るいLDKです。

旧宅をそのまま活かした安心感のある間取りと動線

敷地には充分な余地がありましたが、あえて旧宅のあった位置に新宅を配置しました。
そうすることで住宅内から見る景色が以前と変わらない為、安心感が得られます。また玄関の位置や入り方も旧宅とほぼ同じにすることで、ご家族が慣れ親しんだ動線で心地よく生活できるよう配慮しました。
玄関の扉を開けると右手側にルーバー壁があり、その奥がリビングとなっています。
照明は旧宅で使われていたものをそのまま使用しました。玄関はより旧宅のエッセンスを残し、帰ってきたときにほっと心が休まるような空間になっています。
リビングの奥には夫妻の寝室にもなる和室が連続しています。キッチン・リビング・和室という住まいの中心となる空間を南に面して配置し、リビングの吹き抜けからの光が降り注ぎとても明るい居住空間です。吹き抜けの東・南・西の多方面に開口部を設けたので、時間によって様々な光が差し込み、影を落とすように計算されています。
階段下のスペースにはルーバー壁と同素材の飾り棚を作りました。こちらもまた旧宅の雰囲気が感じられるリビングキッチンとなっています。
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ピアノを置くために作られた2階のホール。
腰壁を書棚にすることで、収納場所を確保すると同時に可視化も叶えました。

家族とのコミュニケーションが活性化する階段とホール

旧宅は平屋でしたが、新宅は2階建てとなっています。
お施主様は2階に子供部屋と収納を作ることが要望でした。そのためお子様の上り下りが多くなることを予想した山口さんは、リビングに面し、かつキッチンの近くに階段を配置しました。
子供は部屋に行くには必ずリビングを通ることになるので、家族とのコミュニケーションが活性化されます。
階段を上り下りするときキッチンで作業している家族に声をかける、といったように自然と会話が生まれる配置になっています。
2階の吹き抜けに面した場所にはピアノを置くためのホールを設けました。仕切りの腰壁を書棚にすることで、
収納ができると同時に下のリビングからピアノを弾いたり勉強をしている子供たちの様子をうかがうこともできます。
家族とのコミュニケーションがとれる家づくりを大切にされている山口さんの思いが込められた素敵な住宅ですね。

まとめ

旧宅の家のいい良いところを残すことで、新築でもすぐに愛着と居心地の良さを感じることのできるお家となっています。
皆様の家づくりのお役にたてれば幸いです。

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