新緑が目に鮮やかなとある日曜日、東京駒場にある日本民藝館にいきました。庭の草花や石仏に目をやりながらたどり着いた入り口に、さりげなく竹製のベンチが置かれていました。それは曲げて編んで組まれたもので、竹の飴色と建物の大谷石がもつ何とも言えない風情に惹かれて、気づけば何枚もの写真を撮っていました。ようやく中に入れば、九十年もの間大切に手入れされてきた建物が生み出す空間、選ばれたモノたちの力強く温かみのあるたたずまいにすっかり引き込まれてしまいました。
私はあることをきっかけにキモノに夢中になりました。着ることよりも、多様な染織の技法から生まれる生地、季節の移ろいやハレとケによって使い分けられる素材や意匠の奥深さを知り、手仕事が生み出す工芸的な魅力の虜になったのです。そんな私にとって民藝館は特別な場所でした。
工芸品は衣食住それぞれでの楽しみかたがあります。食卓では陶磁器やガラス、漆器などのうつわを楽しみ、木工芸は家具や建具、染織は衣服、インテリアの素材としても使われ、住まいにぬくもりを与えてくれます。自宅では箪笥に眠っていた型染めの帯地をいつか表装して飾ってみたいとあれこれ想像するのが楽しみとなっています。
先人たちが代々つないできたもののように、家も道具も愛着を持って飴色になるまで使い、住み継いでいけたら素敵だなと思います。(編集部 E.S.)