
アートと暮らすギャラリー邸宅へようこそ

アートのための3層吹抜の家
R+houseネットワークの施工事例から、今回はアートに囲まれたギャラリーのある家をご紹介します。
函館山から津軽海峡の眺望を獲得するための3階建ての住宅です。ガレージと仕事場とゲストルームも兼ね備えています。お施主様が持っているアート作品や趣味で創作したものを、住みながら自由に展示できるよう、2つの階段を直線的に配置して生まれる3層吹抜の空間をギャラリーとしました。開口と壁の位置は、外観、眺望、展示、構造に配慮して決定しました。すべての場所から景色とアートを楽しむことができる住宅です。

庭からのファサード。バルコニーから外に出て眺望を楽しめます。
建物配置は、バスケットコートの設置を想定。
窓高さを天井いっぱいにすることで印象的な外観になっています。


庭からのファサード。バルコニーから外に出て眺望を楽しめます。
建物配置は、バスケットコートの設置を想定。
窓高さを天井いっぱいにすることで印象的な外観になっています。

2つの階段を直線的に配置してできた、3層の吹抜空間。
光の入り方と反射を考慮して窓と壁を計画しています。


1階のご夫婦の仕事場。それぞれを対称に配置し、共用のスペースを設けることで程よい距離感をつくっています。

光あふれる開放的な2階のキッチン。回遊性のある間取りで、家族のコミュニケーションが深まるよう計画しました。
2階のLDK。大きなニッチに展示収納を置く計画とし、部屋にフィットしたレイアウトを可能にしました。スポットのスマート照明とすることで、アートに合わせて、角度や色温度を調整できます。




景色を眺めながら、奥様のご趣味であるハンモックヨガも楽しめます。


アートに囲まれた世界観のあるスペース。

3階の主寝室。最上階の眺望を取り込むために、壁一面を開口部とし、バルコニーに出られるようにしました。


3階の主寝室。最上階の眺望を取り込むために、壁一面を開口部とし、バルコニーに出られるようにしました。

主寝室からアクセスできる浴室。プライバシーに配慮しつつ景色を楽しめるよう大きな開口を設けました。


何よりも『プロセス』を大切にしています。
出来上がった住宅は、日常的に居心地が良いだけではなく、愛着が湧き自慢したくなるような“心躍る”住宅にします。
1981年 北海道生まれ
2006年 室蘭工業大学大学院工学研究科博士前期課程
建設システム工学専攻 修了
2006年 有限会社アーキテクチャー・ラボ
2016年 アーキテクチャー・ラボ KONオフィス 設立
趣味:買い物
建築家 おススメ “ケンチク”
R+house登録建築家、田淵 一成先生におススメ “ケンチク”を聞いてみました。
シュレーダー邸(1924年竣工)をご紹介します。18年ほど前にヨーロッパに旅行に行った際、飛行機乗り換えの待ち時間でユトレヒトまで足を伸ばし見学しました。水平垂直の面と線で構成された外観やインテリアの造形がとても魅力的で、色は原色を使っているにも関わらず嫌味がなく、それがより面や線を意識させていました。窓は連続して大きく、外観の印象を作っていると同時に、内部の開放感を演出していました。中の写真は撮影不可のためありませんが、可変性のある間取りは四つの居室をワンルームにできたり、階段室を中心にぐるぐると回遊ができたり、戸の開閉に様々な工夫があったりと、ワクワクがたくさん詰まっていました。私が設計する住宅はこの建築との出会いに大きく影響を受けているように思います。
Architect:ヘリット・リートフェルト
Location:オランダ ユトレヒト

オランダの芸術運動 「デ・ステイル」の理想を体現した機能的なデザインなどが評価され世界遺産に登録されています。

オランダの芸術運動 「デ・ステイル」の理想を体現した機能的なデザインなどが評価され世界遺産に登録されています。

幾何学的な形態と、水平線と垂直線、三原色( 赤、青、黄)と無彩色(白、黒、灰色)を基調とした構成が特徴。

美しくて、使いやすく、永く愛せて、
自然の恵みで豊かに暮らせる、
心地いいすまいをいっしょに楽しくつくりましょう。
1978年 鹿児島生まれ
2001年 九州職業能力開発大学校建築施工システム技術科 卒業
2001年 株式会社洋建築計画事務所 入社
2012年 FANFARE Co.,Ltd. 入社
趣味:サッカー、アウトドア、釣り
建築家 おススメ “ライフ”
R+house登録建築家、野村 庸高先生におススメ “ライフ”を聞いてみました。
最近「メンテナンスフリーの住宅」というご要望がありました。改めて考えてみると簡単ではありません。「宇宙船地球号」を記したバックミンスター・フラーは「あらゆる工業製品は短命化する」と述べており、住宅の大半が工業製品であることからも問題は根深そうです。どうしたものでしょうか。いっそ多少の手間をかけてでも育てていきたい住宅、例えば空間と身体の接点を大切にするというのはどうでしょう。その接点は、いずれ住宅への愛着となり、多少の手間を許容してくれるかもしれません。光に包まれる居場所、交流場所としてのウッドデッキ、周辺環境を切り取る窓などお気に入りの場所を見つけたいです。愛着の種をまいてみませんか。せっかく長く住むのですから。

子供とその友達がゴールデンウィークにペンキを塗るのが恒例行事に。

子供とその友達がゴールデンウィークにペンキを塗るのが恒例行事に。

玄関前乱張り石には、子供同士の暗号が書かれていることがある。

アキアーキデザイン一級建築士事務所(東京都)
趣味:アウトドア(初心者)、建築見学、気分転換
編集部コラム
R+house編集部から家づくりに関するコラムをお届けします。
Topics01 ‘バランスの良さ‘ という特徴について

どんな住宅会社に家づくりを託したいですか? 家づくりを検討中のあなたは、様々な要望を予算の範囲内で叶えてくれそうな住宅会社を探している最中かと思います。住宅会社の‘決め手‘ としてよく聞くのは、『信頼できそう』というのは大前提として、『デザインが好み』・『超高性能なところ』・『価格』といったその住宅会社が得意とする’目立った特徴‘ です。一方、意外と聞かないのが『デザインや性能や価格のバランスが良かったから』という声です。住宅以外の買い物をする時、おそらく無意識レベルで『好み』+『品質・機能性』+『価格』のバランスを計って選ぶことがほとんどではありませんか?住宅も同じで、住まい手にとってベストなのは、『高いレベルでバランスの取れた家』。‘ バランス’ を重視して選ぶことは実はとても大事なことなのです。
住宅は安全と安心の場であることはもちろん、家族との大切な時間を育む場所。心地良い空気環境や動線・収納などの機能性、将来的な資産価値も含めて生活の基盤です。そのため、1つの魅力に特化した住宅よりも、総じてバランス良く住まう人に寄り添った住宅の方が、長い目で見て暮らしが豊かになるのではないかと考えるのです。
とはいえ、バランスが良いというのは尖りがないことでもあるので、分かりにくさはあるかと思います。ですが、これから家づくりを始めるうえで「バランスが取れて」「本当に良い家」を作ってくれる住宅会社との出会いを大切に、満足のいく家づくりを叶えていただけると嬉しく思います。(編集部 K.T.)
Topics02 手仕事に惹かれて

新緑が目に鮮やかなとある日曜日、東京駒場にある日本民藝館にいきました。庭の草花や石仏に目をやりながらたどり着いた入り口に、さりげなく竹製のベンチが置かれていました。それは曲げて編んで組まれたもので、竹の飴色と建物の大谷石がもつ何とも言えない風情に惹かれて、気づけば何枚もの写真を撮っていました。ようやく中に入れば、九十年もの間大切に手入れされてきた建物が生み出す空間、選ばれたモノたちの力強く温かみのあるたたずまいにすっかり引き込まれてしまいました。
私はあることをきっかけにキモノに夢中になりました。着ることよりも、多様な染織の技法から生まれる生地、季節の移ろいやハレとケによって使い分けられる素材や意匠の奥深さを知り、手仕事が生み出す工芸的な魅力の虜になったのです。そんな私にとって民藝館は特別な場所でした。
工芸品は衣食住それぞれでの楽しみかたがあります。食卓では陶磁器やガラス、漆器などのうつわを楽しみ、木工芸は家具や建具、染織は衣服、インテリアの素材としても使われ、住まいにぬくもりを与えてくれます。自宅では箪笥に眠っていた型染めの帯地をいつか表装して飾ってみたいとあれこれ想像するのが楽しみとなっています。
先人たちが代々つないできたもののように、家も道具も愛着を持って飴色になるまで使い、住み継いでいけたら素敵だなと思います。(編集部 E.S.)