設計した建築家の想い


[土地の余白(記憶)とミニマムな暮らし]
計画地は、もともと施主の祖母が畑を耕していた土地で、幼い頃に手伝いをした記憶などがたくさん残っている思い出の場所でもあった。また周囲の士地は70cm~1mほど高く造成されており、南側隣地の植栽は1階の階高近くにまで達していた。今回は土地の記憶(一部の畑及び樹木など)が残っている場所を少しでも多く確保するため、建物の規模をおさえて平屋ではなく2階建ての計画とした。また吹き抜けを介した2階からの採光も、時間を限って1階に落し込み、土間の表情を豊かにした。規模をおさえた建物計画は、土間など1つの場所に複数の用途を兼ねた計画とすることで、全ての要望をクリアするとともにミニマムな暮らしを実現させた。


[人間力を回復する家]
日々のストレスからの解放、膨大な書籍の収納と音楽を楽しめる場所、『人間力の回復』というキーワードを基に、大好きな本に囲まれ図書館のように穏やかな時間が流れる場所を目指しました。東面は庭へと開放し、南面の大小の窓からは木漏れ日のように光を取り込み住環境を整えています。玄関から続く書棚、玄関土間と和室、木漏れ日、アウトドアリビングなど、時間の経過を楽しみながら、穏やかに暮らせる場所になっています。


[畑と暮らす多世帯の家]
田畑が広がるのどかな地域で趣味の農作業を楽しみながら大家族で住まう。住人が多く「つかず離れず つく離れる」をテーマに様々な関係性を丁寧に整理し、畑、テラス、LDK、和室など集まる場所を充実させつつそれぞれの居場所は確保して適度な距離感をつくっている。昨今多くは見られない多世帯住宅の昔ながらのつながりと、新たに生まれる交わりを期待するプランとした。


[喧騒をさえぎる壁]
名古屋近郊の角地にたつ住宅の計画で敷地は三角形に近い変形地である上、29坪の敷地は法規制の影響で実質19坪という狭小敷地。ここに3人家族のための住宅を計画。また、駅が近く利便性抜群の敷地であるが故に、ラッシュ時の通行車両や通学自転車の往来から如何にプライバシーを守るかが本計画の重要なテーマでした。そこで西側道路に対して開口のない壁を建て、窓が見えないお家をご提案しました。


[風景をフレーミングする]
長野県に移住したご夫婦の住宅です。敷地の西側には地域特有の健やかな林の風景が広がっています。林が斜角の低い西日をほどよくカットしてくれるため、西側であっても大胆に開くことを容認してくれています。広く大きな窓を連続させたシンプルな立面構成とし、林の風景が生活に定着することを意識しました。どの部屋からも林への眺望が確保できるようなプランとしたため、歩く、座る、寝る、浸かる、暮らしのアクティビティに常に林が関係づけられ、奥行ある開放的な住空間となっています。


[好きなモノに囲まれて暮らす]
北と東に高低差のある2方向道路に接した扇形の敷地。北道路の向こう側には浅川の眺望が広がっており、暮らしに取り込むことは今回の敷地では絶対的な条件。クライアントご夫婦は職住一体で仕事や羊毛紡ぎや織り、車いじりなどの趣味や猫との共生、植物に囲まれた暮らしを愉しめるようなプランをご要望されました。1階は将来店舗としても利用可能なように玄関・ホール⇔ガレージのオープンなプランとなっています。


[みんなが集まる大開口の家]
堤防沿いの広大な敷地に建つ、のびやかな大開口の住まいです。施主ご夫妻と元気な4人のお子様、隣家に住まうご両親、そして大勢の来客が気持ちよく集える大空間のある家がご希望でした。家の中心であるリビング・ダイニングには南面する大きな吹き抜けを設け、2階の空間も取り込んでより広がりのある豊かな空間をつくり出しています。ひとつながりの大空間の中に濃淡のある居場所をいくつもちりばめて、ひとりの時も、家族が思い思いに別のことをする時も、大人数が集う時も、空間が暮らしに自然と寄り添うようなフレキシブルな心地よさを持つ住まいとなるよう計画しました。


[ソトイエ×MachiNiwa]
この住宅は土足のまま行き来ができて、いつでもソト( 街)を感じられる、そんなアウトドア好きな家族の家です。長屋門的玄関アプローチ、吹抜を通じて2階とも繋がった土間リビング、中間領域のテラス、そして大きなデッキの庭、その南にはガーデン(MachiNiwa)へと繋がっていく。ソトなのかウチなのか、家なのか街なのか、そんなあいまいさを大事にしています。


[内と外をつなげる]
屋外空間と室内をつなぐ多様な中間領域を作りました。テラスや土間を「囲む」、「吹き抜く」、「天井を作る」、「同一素材を使う」といった操作により外から内へとグラデーショナルにつなげています。内外の境界を曖昧にすることでプライバシーを守りながら開放的に暮らすことができます。長野という厳しい自然環境の中で環境と共生しながら楽しく暮らす為には高性能であることと同時に、中間領域の建築による空間の操作もまた必要です。


[Shift]
周辺は少しボリューム感のある住宅が建ち並ぶ環境で、施主要望は家族間のプライバシーも重視したいという条件であった。そのため、軽やかな箱と人の距離感を確保する設えが必要だと考えた。そこで、箱を方位に合わせて南に振り、さらに分割してズラした。そうすることで街に対して斜に構えられ、内部は各々の空間が独立しつつも繋がる構成から、程よく街や家族の関係性が生まれることを目指している。


日常の中の非日常
優先すべきは日常の中の非日常を感じる生活。それを叶える為にリビングとそれに続くアウトリビングを計画した。そこは家族が集まり、友人と楽しいひとときを過ごし、自然と対話しながら心身共にリフレッシュできる空間になり、アウトリビングのある家は、都会の喧嘩騒ぎを忘れ、心の安らぐ居場所として、豊かな暮らしを実現するための特別な空間となるはずである。


[街の中のコテージ]
計画地は東西に住宅、南側にはマンションに囲まれた閉鎖的な場所です。その環境でアウトドア好きなお客様のためにどのような環境が最適かを考えました。また敷地の高低差を利用し法面(傾斜面)を設け、印象的なファサードとなるように計画しています。室内空間は吹き抜けを設けた開放的なリビング、それとは対照的なコンパクトな畳コーナー等、外部からの視線を遮りながら落ち着いた環境を確保できるように考えました。その中で自分達色にどのように生活されていくのか…とても楽しみです。