大賞「終のすまい- そして始の住まいへ」
岩見建設有限会社(R+house石見)× 相原昭彦(建築家)
大賞.jpg 9.4 MB▼審査員の評価コメント
「審査員全員一致のぶっちぎりの大賞です。
定年を迎え、地元へ戻って新しい生活を始めようとする単身者の住まいであり、かつて親戚が暮らしていた家を、当初は改修することも考えていたけれど、雨漏りなどで傷んでいたため、ほぼ同じ規模で建て直したという住宅。そしてお施主様は、自分が住まなくなった後は、この街の人たちが住み継いでくれることを望んでいるとのことです。定年後の高齢者が単身で新たな生活拠点を構え、新しい人生をスタートさせるということは、子育て世代の新築の夢とは違うけれど、同じように豊かなものでなければいけません。そしてこのお施主様が潜在的に求めたものは、今後着実に顕在化してくると思われますが、設計者がそれを汲んで実現したこの佇まい。まさに「佇まい」という言葉がぴったりな気がしますが、それは称賛に値するものだと考えます。
街路に対して物理的に開放された住宅ではありませんが、かつての住宅のおもかげを残し、その佇まいによって街と応答する。そうした町との関わり方もあるのです。隣地境界の塀の低さは、この地域にあったコミュニティを象徴するかのようで、その低さがこの建物のスケール感の根拠を物語るかのようです。
プランはいたってシンプルですが、寝室はゆったりとつくられ、次世代に継承された後も、大きな改変なく使われそうです。小屋組を現しにすることで空間ボリュームも確保できていますし、そのデザイン性も肩が凝らずに暮らせそうな良い塩梅だと思います。改めて、大賞おめでとうございます」
▼受賞工務店からのお喜びの声
「建築家からトラス構造の勾配天井が提案された際、予算面への配慮から平天井にすべきか社内で迷いがありました。しかし、ちょうど他現場での施工経験があったため、『絶対にいける、自信を持って提案しよう』と社長である私から現場の背中を押しました。最終的に平天井とトラスの両案をお施主様にお示しし、選んでいただいたのがこの空間です。現場が時に弱気になりそうな時こそ誰が後押しするかが大切であり、建築家を信じてやり切ることの大切さを改めて実感した物件です」
▼受賞建築家からのお喜びの声
「大賞をいただき大変光栄に思うのと同時に、不思議な感覚を抱きました。時代の空気が変わってきたことを痛烈に感じ、何をつくるべきかを改めて問い直さなければと思った次第です。
この物件では、お施主様の暮らしやすさに寄り添いながら、将来の継承も見据えた普遍性をどう生み出すかを考えました。あえて結論を突き詰めすぎず、全体を『ふわっと』着地させるための仕掛けとしてあの架構をつくっています。そのゆるやかな着地点を審査員の方々が肯定的に捉えてくださり、講評で頂いた『かわいい』という言葉には思わずにやりとしてしまいました。嬉しかったキーワードのひとつです」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県益田市の施工事例:終のすまい-そして始の住まいへ
審査員特別賞 木藤 阿由子 賞「心にゆとりをもたらす大人の住まい」
株式会社トモノ(R+house佐久・軽井沢・上田・長野)× 矢橋徹(建築家)
木藤賞.jpg 15.27 MB▼審査員の評価コメント
「まず、広い敷地の中に建つかわいらしい佇まいに惹きつけられました。決してかわいいだけでなく、モダンな雰囲気も感じられ、親しみやすさと洗練されたデザインが両立しています。何より高く評価したのは、日々の暮らしやすさを丁寧に考えた間取りです。寝室と水回りの位置関係、玄関からの表動線と裏動線の使い分けと、それらをつなぐ回遊動線など、よく考えられています。
また、窓際の造作ベンチや小上がりなど、家のあちこちに気軽に腰を下ろせる場所が設けられているのも魅力です。家族が一緒に過ごす時間だけでなく、それぞれが思い思いに過ごす時間も大切にする。そんな現代の暮らし方に寄り添った設計だと思います。奇をてらうことなく、日常の心地よさを丁寧に積み重ねた、住宅としての完成度の高い作品です」
▼受賞工務店からのお喜びの声
「非日常を心ゆくまで楽しんでいただく別荘として、気分や天候に応じて選べる多様な居場所を散りばめた住まいです。オーナー様の高いこだわりにお応えするため、初めてとなる木製サッシの採用など数々の新たな挑戦をしました。試行錯誤を重ねた分、建築家の矢橋先生の素材提案や設計技術から多くの学びを得ました。何より、オーナー様に快適さと満足を実感していただけていることが最大の喜びです」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>長野県佐久市の施工事例:心にゆとりをもたらす大人の住まい
審査員特別賞 橋本 純 賞「偏角の棲家」
岩見建設有限会社(R+house石見)× 江藤健太(建築家)
橋本賞.jpg 9.53 MB▼審査員の評価コメント
「山裾に連なる赤い石州瓦屋根の集落と県道の間に建つ平屋のこの住宅は、白い切妻の屋根がとても印象的で、審査会では周辺環境への調和に対する議論がありましたが、私はこの建ち方を評価しました」
▼受賞工務店からのお喜びの声
「担当営業が建築家のプランに惚れ込み、社内でも徹底的に議論を重ねて実現させた思い入れの深い物件です。建築家が提案した『家型の屋根』や配置計画は、周囲に瓦屋根や小屋が多い集落の文脈を受け止め、風景に美しく溶け込むことを意図したものです。当初は外壁に焼杉やガルバリウムなども想定していましたが、お施主様の強いご希望であった塗り壁を採用したことで建物の佇まいがより引き立ち、審査員の橋本さんの心にも響いたのだと思っています」
▼受賞建築家からのお喜びの声
「地域に残る石州瓦の美しい集落景観とどう接続させるかを考え、周辺環境が自ずとにじみ出るような配置計画を意図しました。敷地をあえて二分するように建物を配置することで、性格の異なる2つの庭を生み出していますが、これも環境と対話した結果生まれた形です。R+houseの枠組みや予算という制約を意識させず、環境に対してシンプルで心地よい答えを出せたのではないかと感じています」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県益田市の施工事例:偏角の棲家
審査員特別賞 布野 修司 賞「陽だまりの窓辺~心穏やかに暮らす、終の住処~」
株式会社渡辺建設(R+house郡山南)× 織田遼平(建築家)
布野賞_内観.jpg 15.52 MB▼審査員の評価コメント
「日本の世帯総数は、約5,505万8千世帯(厚生労働省「国民生活基礎調査」2025年6月)で、そのうち単独世帯:1,947万7千世帯(35.4%)、夫婦のみの世帯:1,362万6千世帯(24.7%)、合わせれば60%に及ぶ。夫婦と未婚の子のみの世帯は、1,340万6千世帯(24.3%)4分の1に過ぎない。しかも高齢者世帯が1,754万6千世帯(31.9%)である。世界に先駆けて少子高齢社会に突入した日本の居住環境をどう編成するかは建築界のみならず日本社会の存立に関わる問題である。東京都心に一戸当たり1億円を超えるタワーマンションが建つ一方、空家が900万戸にのぼる(2025)。いかにもバランスを欠いている。
そうした中で、大賞となった「終の住まい-そして始りの住まい」は最も現実的な「単身者住宅」であり、「幸せな」「終の住処」である。この特別賞「陽だまりの窓辺~心穏やかに暮らす、終の住処」も同様である。
いずれも世代がどうつながれるかは不明であるが、この住宅は二人を基本とするプロトタイプと考えることが出来る。すなわち夫婦世帯もいずれ単身世帯となるのであるが、それをサポートする、あるいは新たな構成員を加えて維持されていく可能性がある。
何よりも印象的なのは「陽だまりの窓辺」に二人の部屋を貫くように設えられたカウンターである。ダイニングを挟んで2つの部屋のつかず離れずの関係がイメージできる。ダイニングキッチンとリビングを分けた構成も、世代がつがっていくことを考慮したようにも思える」
▼受賞建築家からのお喜びの声
「施工を手掛けた工務店様によって非常に丁寧に作られていましたが、決して派手さのある建物ではないため、受賞の一報には驚きとともに大変嬉しく思いました。
いわゆる従来の『nLDK』という枠組みにとらわれず、『仲が良いけれど、一人の時間も大切にしたい。そして食事は必ず共にする』というお二人の心地よい関係性をプランとして形にできた点、そしてそれを審査員の先生に評価していただけたことを光栄に思います」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>福島県須賀川市の施工事例:陽だまりの窓辺~心穏やかに暮らす、終の住処~
審査員特別賞 前田 圭介 賞「桟橋を架ける暮らし」
岩見建設有限会社(R+house石見)× 池原靖史(建築家)
前田賞_T.jpg 3.35 MB▼審査員の評価コメント
「東面に広がる雄大な山をフレーミングしながら、一筋の小道を渡ってアプローチする計画が印象的な住宅である。西面ファサードの開口部はやや抑え気味に感じられたが、内部では屋根形状を生かしたハイサイドライトから自然光を取り込み、適度な内外の境界を設けている点が興味深い。ラワン合板と電球による照明計画が生み出す内部空間は、ほどよい心地よさを実現しており、好感をもった。周辺環境に呼応した住宅の配置と空間設計を高く評価したい」
▼受賞工務店からのお喜びの声
「家の中を移動するたびに見える景色が変わり、その時々の気分で居場所を選べる建築家ならではの空間設計は見事でした。つくる側としても、納まりや美しさの面で課題や学びが得られました。建築士でもあるお施主様との相性を考えての選択でしたが、池原先生にお願いして本当に良かったと感じています」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県鹿足郡吉賀町の施工事例:桟橋を架ける暮らし
特別賞「Butterfly ー眺望の良い家ー」
株式会社トモノ(R+house佐久・軽井沢・上田・長野)× 木内浩司(建築家)
特別賞トモノ_窓.jpg 1.51 MB▼審査員の評価コメント
「豊かな自然環境の中で、暮らしの中心を2階に設定した住宅である。「Butterfly」という名称が示すように、くの字型の平面形状が特徴的である。くの字型の形態によって、2階の各居場所が緩やかにつながりながらも、それぞれ独立した空間として設計されている点に好感をもった。
また、くの字型プランの交点にこそ、この空間の面白さが表れていると感じた。1・2階ともに曲面の壁を採用することで、交点から各空間への動線や視線が多方向に開かれている点を評価したい」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>長野県北佐久郡御代田町の施工事例:Butterfly ー眺望の良い家ー
特別賞「Jig hut」
岩見建設有限会社(R+house石見)×矢橋徹(建築家)
特別賞_岩見.jpg 16 MB▼審査員の評価コメント
「郊外型住宅のモデルハウスにおいて、駐車場と住宅を組み合わせたステレオタイプな形式に対し、庭や畑など、この地域を象徴する風景を余白として取り込み、周辺の住宅の形態と呼応させながら、可愛らしい家型の佇まいを生み出している点が印象的な住宅である。統一された小さなモジュールによって構成されたT字型プランは、架構と相まって、シンプルで美しい内部空間を生み出しており、その点を高く評価したい。
また、都市化が進むエリアにおいて、西側の寝室ゾーン周辺は、外部空間と一体的に利用することで、将来的に多用途へと展開できる可能性を示している点も興味深い。
一方、北面に対してはやや閉じた構成となっている点が気になった。隣家との関係にも配慮しながら、内外の空間のつながりがもう少し感じられる構成とすることで、この住宅モデルの強みがさらに増すように思われた」
▼受賞工務店からのお喜びの声
「私たちが目指したのは『既成概念を壊す、見たことのないモデルハウス』でした。建築家の矢橋先生には『僕らができるR+houseの限界を表現してほしい。単なる住宅で終わらず、街のためにもなる空間を』とオーダーしました。住宅という面でも、単身世帯やご高齢のご夫婦など、多様な住まい方の受け皿にもなる確かな手応えを感じています。特別賞の受賞は光栄ですが、モデルハウス大賞を逃した悔しさもあります。だからこそ、『やっぱりこれはモデルハウス大賞だった』と言われるようなモデルハウスになるよう、これから活動していきたいです」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県益田市の施工事例:Jig hut
建築家賞 最優秀賞「偏角の棲家」
岩見建設有限会社(R+house石見)× 江藤健太(建築家)
審査員特別賞 橋本純賞とのダブル受賞です!
建築家賞最優秀賞.jpg 3.31 MB▼審査した建築家からの評価コメント
「限られた面積の中に、想像以上の奥行きと広がりを生み出した住宅です。シンプルな構成ながら、勾配天井や巧みな窓の配置、土間や畳の間を介した多様な空間構成が、暮らしの豊かさを感じさせます。美しいプロポーションと丁寧な納まりも秀逸で、完成度の高さが際立つ作品です」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県益田市の施工事例:偏角の棲家
建築家賞 優秀賞「Jig hut」
岩見建設有限会社(R+house石見)×矢橋徹(建築家)
特別賞とのダブル受賞です!
建築家賞最優秀賞・特別賞.jpg 10.94 MB ▼審査した建築家からの評価コメント
「明快で力強い建築構成でありながら、周辺環境とのスケールの調和が見事な住宅です。架構の美しさを活かした空間構成に加え、コンセプトや配置計画から細部のディテールに至るまで、一貫した設計思想が感じられます。建築としての構成力の高さと美しい佇まいが印象的な作品です」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県益田市の施工事例:Jig hut
建築家賞 優秀賞&ネットワーク工務店が選ぶ ビルダー賞「桟橋を架ける暮らし」
岩見建設有限会社(R+house石見)× 池原靖史(建築家)
審査員特別賞 前田圭介賞、ビルダー賞とのトリプル受賞です!
建築家賞優秀賞.jpg 2.08 MB▼審査した建築家からの評価コメント
「広大な自然と向き合う敷地の特性を丁寧に読み解き、力強さと美しさを兼ね備えた住宅です。明快な配置計画と平面構成を基本としながら、開口部や天井の操作、色彩計画など、細部まで丁寧に作り込まれた上質な空間が魅力的です。敷地と真摯に向き合う挑戦的な姿勢と設計力を高く評価しました」
▼投票した工務店の声
「国道と川の間という立地。閉ざされた県道側と解放された川側のバランス。土間空間をつなぐ2つの空間をまとめている点。日常的な部分がありつつ、非日常感の楽しみがあるところが良かった」
「『みんなの船着き場』という発想。シンプルなデザインでありながら桟橋などの考え方がとてもアイディアいいと感じました」
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>島根県益田市の施工事例:桟橋を架ける暮らし
SNS部門 年間大賞「Hygge/境界線が生むゆらぎが心地よいくらし」
株式会社国松工務店(R+house函館)× 中嶋浩平(建築家)
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R+house公式Instagramアカウント上での「いいね」獲得数で決まる賞です。
2026年1月~8月までの期間に2回のレースを実施し、各回の金賞に選ばれた物件の中から「SNS年間大賞」を決める決勝戦を9月に行いました。 その結果、「Hygge/境界線が生むゆらぎが心地よいくらし」 が見事年間大賞に選ばれました!
▼木藤阿由子様からのコメント
SNS賞は、より多くの人の共感を集めた住宅に贈られる賞といえます。その点で、この作品は、建物が暮らしの背景となり、そこに住む家族の姿や生活が自然になじむことで、幸せな日常の風景が伝わってくる住宅でした。
ビルトインガレージによって足元に軽やかさを生み出した、美しい建物のプロポーションも印象的です。室内では、2階の梁をあらわしにすることで、木の温かみが感じられる居心地のよいリビング空間をつくり出しています。さらに、象徴的な大開口の向こうには、住宅街を見下ろす開放的な景色が広がり、明るく気持ちのよい暮らしが想像できます。
この受賞作品の施工事例は以下よりご確認ください。
>>愛知県知多市の施工事例:Hygge/境界線が生むゆらぎが心地よいくらし
表彰式の様子
受賞されたみなさまおめでとうございました!!
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審査会の様子
ここで、審査会の時の様子をご紹介します。
4名のゲスト審査員の方々には個別に全応募作品の事前評価を行った上で本審査会に臨んでいただいており、4名が一堂に会した審査会ではその事前評価結果を参考にしながら、受賞作品を選考するための様々な議論が繰り広げられました。
日時:9月26日(土)16時~18時
場所:株式会社くふう住まいコンサルティング
ゲスト審査員:
株式会社エクスナレッジ 建築知識ビルダーズ 編集長 木藤 阿由子様
株式会社ハシモトオフィス 代表取締役 橋本 純様
日本建築学会名誉会員 滋賀県立大学名誉教授 布野 修司様
株式会社 UID 代表取締役 / 近畿大学 教授 前田 圭介様
審査風景【決】1756.png 1.42 MB審査員の皆様ありがとうございました。
そしてあらためて、受賞された皆様おめでとうございました!