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要素をそぎ落とし南に開く

R+houseネットワークの施工事例から、今回は要素をそぎ落とし南に開く家をご紹介します。

南に広がる森に臨む高台の敷地を活かし、道路と東西隣地に面する開口部は最小限とし、南に大きく開く構成としました。

1階は玄関から土間キッチン、それに連なるリビングによるワンルーム構成とし、南面は約7mの連続する大開口、空を望む吹抜を介し、2階には分割可能な個室、寝室、水廻りを設けています。総2階の外観による端正なファサードとは対照的に、プライバシーの確保された南には開く大らかな住まいを目指しました。

北側1枚を除いて開口部は眺望の良い南側に設けています。窓の向こうには森と空だけが広がります。

1階の半分は土間の構成。玄関から土間を通過して庭へ抜ける動線も確保。

ダイニングテーブルと連続する土間キッチン
1階は玄関から土間キッチン、それに連なるリビングによるワンルーム構成とし、南面は約7mの連続する大開口、空を望む吹抜を介し、2階には分割可能な個室、寝室、水廻りを設けています。総2階の外観による端正なファサードとは対照的に、プライバシーの確保された南には開く大らかな住まいを目指しました。
抑制的な開口部とシンプルな総2階形式のファサードが生み出す端正な佇まい。玄関正面外壁には板張りを採用しました。

冬は日射を大きな開口部から採り入れ、夏は庇によってコントロールします。1階開口部には金属ブレースを設置し耐震性を確保しました。

1階は収納を除き間仕切や建具の無い完全なオープンワンルーム形式。

カーテンの必要が無い暮らしを実現
抑制的な開口部とシンプルな総2階形式のファサードが生み出す端正な佇まい。玄関正面外壁には板張りを採用しました。

南側の森と空を望む吹き抜け。水平方向だけではなく垂直方向にも視界が拡がります。

深澤 明のプロフィール画像
建築家プロフィール
深澤 明 | Fukasawa Akira

住まいは毎日の暮らしを支える大切な器です.
同じような条件でもちょっとした工夫や意図を加えることによって
より良い住まいが得られます.
そんな日々の暮らしを支える家づくりを住まい手さんと共に考えます.

1972年 栃木県生まれ
1996年 日本大学理工学部建築学科卒業
1996~2003年 野沢正光建築工房
2004年~ 深澤設計
第3回住まいのバリアフリーコンペティション 優秀賞受賞
第2回トステム設計コンテスト サッシ部門銀賞受賞

興味:音楽、囲碁、将棋、相撲、ハイキング、サッカー

Architect Column

建築家 おススメ "ケンチク"

R+house登録建築家、田島 芳竹先生におススメ "ケンチク"を聞いてみました。

何年かぶりに軽井沢聖パウロカトリック教会(1935)を訪れました。実は26年前結婚の誓いをした大切な場所です。この日も聖堂の中では信徒が集まり聖書朗読礼拝がされていましたが、外はこの建物を一目見ようと訪れた人々で今も変わらず賑わっていました。入口には「どなたでも入館ください」との札があるので、訪れた方々が躊躇することなくまるで自分の家であるかのように聖堂の中に入っていく光景を目にします。入っていく人達を見ていたらほほえましく思えてきました。「まちに開かれている建物」という表現をはるかに超えて、まちの一部のような感覚、あの場所になくてはならない存在のように感じたのです。建物とは心にいつまでも残り続ける風景でもあるのではないか。愛され続けられているこの建物を体感するたびにそんな思いが募ります。
Architect:アントニン・レーモンド
Location: 長野県北佐久郡

傾斜の強い屋根と軒を低く抑えた水平方向に広がる屋根の絶妙なバランスに大きな尖塔のプロポーション、訪れる者に結界を感じさせない、なんとも心地の良い雰囲気の佇まい。日本の近代建築選にも選ばれている歴史的建造物です。

風景となる教会
田島 芳竹のプロフィール画像
建築家プロフィール
田島 芳竹 | Tajima Yoshitake

住まい手が背伸びすることなく、自然に時の流れを感じながら、生活をおおらかに楽しむことが出来る居心地のよい居場所をご提案したいと考えています。

1973年 東京都生まれ
1998年 東海大学大学院工学研究科建築学専攻 修士
1998年 松永安光/近代建築研究所
2012年 田島建築設計事務所 設立

趣味:山登り、バイクツーリング

Architect Column

建築家 おススメ "ライフ"

R+house登録建築家、杉原 豊実先生におススメ "ライフ"を聞いてみました。

犬窓

犬窓

我家には今年10歳になった犬がいます。家の中を自由に歩き回り、夏は涼しい場所、冬は暖かい場所と快適な場所を探して過ごしています。ペット(犬)がいるご家庭のヒアリングで、しばしば以下のような要望が出てきます。家族が外出中に犬達が過ごす環境を良くしたい、冬はポカポカとひなたぼっこさせたい、お父さんが車で帰って来た時にお出迎えする窓が欲しい。地窓にすることで犬目線となりお出迎えする窓にはなりますが、ひなたぼっこをする窓には日射の検討が必要です。日射調整の検討により、夏に日差しを遮り、冬に陽だまりを作ります。床面に直接接触する犬にとって、床の表面温度の影響は大きく、快適さに繋がります。パッシブデザインをすることで犬達にとっても過ごしやすい場所を作ってくれます。同時に床の素材検討も大事ですね。来年完成する家で提案した犬窓。そこから覗く犬に会いに行きたいと考えています。

杉原 豊実のプロフィール画像
建築家プロフィール
杉原 豊実 | Sugihara Toyomi

すまいづくりで大切にしていることは、何となく感じる居心地の良さ、気持ちの良さ、そして家族みんなが健やかに過ごせること。
環境や住むひとのことを理解し、最適なかたちをご提案します。

1970年 広島県生まれ
1994年 広島工業大学建築学科 卒業
1991年~ 地元建設会社、設計事務所、住宅会社勤務
2014年 スギハラ建築設計事務所 設立
趣味:海釣り、バス釣り、スクーバダイビング、トレッキング、ワイン

R+house Column

R+house編集部コラム

R+house編集部から家づくりに関するコラムをお届けします。

Topics01 家は人生に寄り添う空間

家は人生に寄り添う空間

年末年始はこれからの暮らしや家族との時間について考える機会が増えるのではないでしょうか。最近、住まいが人に寄り添う力を改めて感じた出来事がありました。父が急に体調を崩し、「在宅緩和ケア」を選択をすることになったとの連絡を受けました。恥ずかしながら、私はその言葉の意味をほとんど知りませんでした。在宅緩和ケアとは、住み慣れた自宅で訪問診療や訪問看護を受け、自分らしく療養生活を送るための総合的な支援のことでした。
数年前、父は定年のタイミングで生まれ育った土地へ戻り、祖母の家を二世帯で暮らせるよう建て直していました。新しい家には家族それぞれの生活スタイルを反映した空間があり、父の部屋は好きな物に囲まれ、穏やかな時間が流れていました。
在宅ケアが始まると、看護師の方が毎日のように訪れてくれて、家での療養に対する不安はほとんどありませんでした。訪問入浴では、父の部屋で入浴までしていただけました。医療的な安心を得ながら、親戚や友人が気軽に顔を出せる。病院よりも会いに行きやすい"家" であることが、父の表情を明るくしてくれたように感じます。自分の好きな空間で、好きな人たちに囲まれながら過ごす日々。家とは単なる器ではなく、人生の様々な場面を支える場所なのだと改めて感じました。今後も「家は人生に寄り添う空間」という想いを大切にしていきたいと思います。
(編集部 S.Y.)

Topics02 最北へひとり旅

最北へひとり旅

初めて北海道に行くならあえて新千歳以外の空港にしようと思い立ち羽田から稚内へ。天邪鬼な動機以外に稚内を選んだ理由は何かの本で見た、稚内港北防波堤ドームを見てみたかったからです。それは稚内駅から徒歩5 分の港のそばにありました。このドームは427mの長大な構造物で、樺太から吹く強風から港を守るために作られたという。この日は、おだやかな晴天の青空が仰々しいコンクリートの灰色ときれいな対比となり、気のせいですがどこを撮ってもまるで写真が上手くなったような錯覚に陥りました。他に観光客はおらず、長いドームの下では地元の若者達がスケボーの練習をしていて、ここならほぼ天候に関係なく思いっきり練習ができそうで、まさに現代ならではといった使い方に感心してしまいました。
日没時間まであとわずか、せっかくここまで来たからにはと学校帰りの学生達しかいない宗谷本線に飛び乗り、二駅先の抜海駅を目指しました。この駅は、当時廃駅になることが決定していた国内最北の木造駅舎。そうなる前に是非行っておきたいと気になっていた場所のひとつでもありました。ここも観光客は私一人だけで、駅舎には手作りのクッションが置かれたベンチや、訪れた人を少しでも楽しませようと、本や手作りの掲示物、思い出ノートなどが置いてあり、静かに愛されている駅だと感じました。稚内まで折り返す最終列車が来るまでの一時間を一人で過ごし、地図でしか眺めることが無かった北海道の広さを実感しました。
(編集部 M.N.)

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