建築家に学ぶ、良いデザインとは

建築家のこだわり満載!地域との距離感を意識したデザイン住宅

デザイン住宅を購入する際、建築家の思いを参考にすると意外な発見があるかもしれません。建築家は住まい手のことを考えて住宅を設計しているので、どのような部分にこだわったか聞くことは良い判断材料と成り得ます。今回は距離感に建築家の思いが込められた、デザイン住宅を紹介します。

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建築家 藤本誠生

建築家 藤本誠生
藤本誠生建築設計事務所

今回紹介するデザイン住宅を設計した『藤本誠生』さんは『藤本誠生建築設計事務所』を主宰されています。1979年熊本県出身で、地元の熊本県で建築家としての技術を磨いてきた建築家です。2002年に『森繁建築研究所』、2012年に『矢橋徹建築設計事務所』を経て2015年に自身で藤本誠生建築設計事務所を開設しました。
「使われ続ける建築を造ること」をテーマに掲げ、土地の読み取りがこだわりのポイントです。土地の特性を読み取ることで周辺地域と馴染み、街・都市・思考と共鳴するような可能性のある建築になります。クライアントの要望を紐解き、土地の特性とどのように結び付けるかを考えるのが建築家の仕事というのが藤本さんの考えです。完成した時に違和感のない建築を重要視しています。

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住居の中心に配置されている中庭には、シンボルツリーがあります。シンボルツリーや周辺の景観を望めるこだわりの設計によって、四季折々の変化を味わえます。広々とした空間を演出すると同時に、中庭から各部屋へ簡単に行くことができます。。

土地の特性を読み取った、違和感のないデザイン住宅です

周辺地域には山・海・川があり、自然豊かな場所にデザイン住宅が位置しています。
連続した斜面が海に向かって連なり、郷と呼ばれる閑静な住宅街です。
デザイン住宅らしいおしゃれな印象があるものの、藤本さんのこだわりである住まい手の要望と土地の融合が実現されています。
おしゃれ過ぎず地味過ぎず、ほど良い存在感のある住宅です。自然と住まいが調和している土地の特性を生かした、藤本さんらしいデザインと言えるでしょう。
最近は人口増加に伴って住宅街の開発が急速に進み、今回の計画地は連続する斜面に位置していることが最大の魅力です。
住宅から見る方角を変えれば、さまざまな景色を望むことができます。
斜面の中腹に位置しているため、高低差を生かした建物配置(フットプリント)とすることを重視しました。
土地の特性を読み取り、周辺の豊かな自然が望めるような専用スペースを設けています。
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豊かな自然を望めるように大きめの窓を配置し、日当たりの良さを実現しています。中庭に面している外壁を白色にすることで、反射された光を居住空間へ取り込んでいます。

地域や近隣住民との適度な距離を保つ「バッファーゾーン」とは?

地域性を重視すると同時に、地域との距離感にもこだわっています。
住宅を購入して新しい環境で暮らす場合、必ずその土地に昔から住んでいる人々がいるでしょう。
住まい手は先住者と良い関係を築くことが、今後の生活において非常に重要です。
良い関係を築くために必要なのは「絶妙な距離感にあること」と藤本さんは考えています。
住宅の前に「バッファーゾーン」となる深い軒のスペースを設けることで周辺地域と適度な距離を保ち、近隣住民との絶妙な距離感を演出しています。
バッファーゾーンは「緩衝地帯」と言われることもある、環境アセスメント及び建築用語です。
道路や工場など暮らしの妨げになる存在と住宅の間に設けるエリアをバッファーゾーンと呼び、騒音や振動などの公害から住まい手を守る効果があります。
深い軒によって住まい手が快適に過ごせる住居スペースを確保しています。
快適性の実現と同時に雨に濡れない車庫としても活用でき、住宅の機能性を高めている部分です。
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プライベート空間とは適度な距離感を保った場所に和室兼ゲストルームがあります。中庭のシンボルツリーが室内から見えるような設計になっています。

中庭をバッファーゾーンとして活用しています

地域の景観を住宅に取り入れるため、中庭のある「コートハウス」形式のデザインが採用されています。
コートハウスは建物や塀で囲まれた部分に、中庭を設けている住宅です。北東の抜けた景観を望むことができ、屋根の開口部分からは青空を眺められます。
特に景観の美しい北東の山脈に視線を向けるような設計になっています。
四季を感じられる住宅にすることで、住まい手の日常生活に彩を与えることが目的です。
また、中庭は各部屋を繋ぐ役割を担っています。住宅の中心に中庭を配置して各部屋を繋げ、プライベートな空間とゲストルームに適度な距離を保っています。つまり、中庭が一種のバッファーゾーンとなっているのです。
あえて各部屋の間にバッファーゾーンを設けることで他人に侵食されない、特別な空間を作っています。離れのような特別感を味わうことも可能です。
中庭が解放感を作り出し、広々とした居住空間で過ごすことができます。

まとめ

土地の特性を読み取って違和感のない適度な存在感のあるデザイン住宅に仕上げることで、周辺地域や近隣住民と絶妙な距離感のある居住スペースが確保されています。藤本さんの距離感に対するこだわりが見える住宅です。

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