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【注文住宅の耐震関連情報】地震災害が生じやすい場所の特徴とは?

設備・性能
更新日:2024.05.08 / 公開日:2024.04.26

住宅を購入する際は、土地の形や立地、環境などをチェックすることの他に、地震に強い安全な場所なのかどうかも見極める必要があります。この記事では、全国各地に展開されているハザードマップから、災害が発生しやすい場所の特徴と過去にあった事例を紹介するとともに、日本の地盤について深掘りしていきます。これから注文住宅を建てようと検討されている方は、家の耐震性についても注目して考えてみてください。

グレーの壁に植栽が映える外観
目次
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土壌断面の層
写真②土壌断面の層-min.jpg 81.78 KB

地盤とは、住宅などの建物の基礎を支える土地の部分のことです。地盤は地表からある一定の深さまでの部分を指します。住宅の建築時にかかる荷重を支え、建築後も安定した状態を保つ役割を担うのです。地盤は、地層の種類や作られた年代によって硬さが異なります。まずは、地層について見ていきましょう。
地層とは、砂や粘土、生物の死骸などが積み重ねられ層状になったものです。主に「沖積層」と「洪積層」の2つに分けられ、沖積層は地層の中で最も新しく、水分を多く含んでいて軟らかいため地震による液状化が起こることも。一方洪積層は、沖積層よりも古い地層で硬い特徴を持ちます。

また、日本の地形は「山地」・「丘陵」・「台地」など5つに区分されています。その中でも山地と丘陵が国土の73%を占めているため、活用できる平野が少なく海岸の埋立造成や丘陵・台地の斜面造成など災害リスクの高い場所への開発が進められてきました。
建物を建てる際は、「支持層」と呼ばれる地盤を選ぶことが重要です。支持層とは、建物の荷重を支えるのに適した硬さを持つ地層のこと。住宅やマンションなど建物の種類によって支持層の深さは異なります。また、建物を支える地盤が支持層であるかの判断基準は、地層の強度を数値化した「N値」を用います。N値は地盤調査で算出することができ、N値が高いほど地盤が硬く、建物の安定性が向上するといえるでしょう。

一方、支持層とは反対に建物の荷重によって変形しやすい地盤を「軟弱地盤」といいます。安定性が低い地盤のため、建物の荷重に耐えられるよう地盤を改良しなくてはいけません。

笑顔の健康な住宅
写真③笑顔の健康な住宅-min.jpg 61.45 KB

気に入った土地が軟弱地盤だった場合、地盤改良を施す必要があります。ここでは、地盤調査と地盤改良のやり方について説明しましょう。
戸建て住宅の場合地盤調査には、「スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」を用いることが一般的です。先端がスクリュー上になっている鉄棒を回転させながら地盤に差し込み、その際の貫入抵抗で地盤の強さを計測します。調査は、敷地の真ん中1ヵ所と4隅の計5ヵ所行うことが通常です。
調査の結果軟弱地盤だった場合、地盤改良工事を行い地盤強化します。

主な地盤改良工事の方法は以下の3つです。

表層改良工法

表層改良工法では、軟弱地盤が地表から2mほどの比較的浅い部分の強化に用いられます。軟弱地盤部分を掘り出し、新しく用意した土と固化材を混ぜて練り固め、地盤を強くします。

柱状改良工法

柱状改良工法は、軟弱地盤が地表から2~8mまでの深さの場合に使われる方法です。敷地に丸い穴を開け支持層のある地盤まで掘り進め、掘りながらセメントミルクを注ぎ込みます。地中の土とセメントミルクを撹拌させながら円柱状の杭を造り、地盤を強くします。

小型径鋼管杭工法

小型径鋼管杭工法は、支持層のある地盤まで鋼管を打ち込み、杭の支持力によって建物を支える改良方法です。地表から30mまでの軟弱地盤が深い部分まである場合に用いられます。

ハザードマップ、防災地図のイラスト
写真④ハザードマップ、防災地図のイラスト-min.jpg 78.62 KB

地域の災害リスクや災害時の避難ルートなどを確認できるハザードマップは、家づくりの際、検討材料として欠かせません。リスクの高い地域は、ハザードマップ上でどのように表されているのでしょうか。地震発生時の揺れやすさや土砂崩れ、液状化について過去の事例とともに見ていきましょう。
各地域で展開されている揺れやすさマップは、地震発生時の震度を予想したもの。震度によって色分けし、同じ地震でも住む場所によって揺れ具合が異なることが一目で分かります。

例えば2016年、震度7の地震が連日発生した熊本地震では、住宅の全壊が約8,300棟、被害計は16万棟とされています。断水・停電・ガス供給の停止、交通網の一時不通など多くの被害がありました。

現在の熊本市の揺れやすさマップでは、3つの地震を想定した揺れやすさマップを掲載していますが、熊本地震は布田川・日奈久断層帯地震に当たるもの。熊本市内でも震源地となる益城町に近い地域では揺れやすさマップも揺れが強い傾向を示しています。

参考元:熊本市地震ハザードマップ

土砂災害
写真⑤土砂災害-min.jpg 74.54 KB

地震だけでなく大雨や火山の噴火などでも発生する土砂崩れ。ハザードマップ上では、土石流・地すべりなどの土砂崩れを想定し、災害リスクが高い地域を色別に判別できるようになっています。土砂崩れの発生しやすい場所の特徴としては、盛土がされた土地・地形が不安定な造形地・がけ崩れが起こりやすい急傾斜地の他、扇状地や山岳地帯が挙げられます。

2018年に起こった北海道胆振(いぶり)東部地震では、厚真町で最大震度7を記録しました。地震による死者の多くは土砂災害によるもので、主に厚真町の山腹から土砂が崩れたことが原因といわれています。

参考元:内閣府|令和元年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-4 平成30年北海道胆振東部地震 : 防災情報
液状化が起こる要因は以下の3つといわれています。

●地下水位が地表面から10m以内と高いところにある
●地下水に浸った緩い砂地盤である
●震度5以上の地震の揺れが長く生じる

液状化マップでは、赤・オレンジ・黄色・緑・青の順で危険度を表すところが多く、赤色に近いほど液状化しやすい場所といえます。液状化は、埋立地などの比較的新しい土地、もともと池や沼、河川であった土地、大河川の沿岸などで起こりやすい傾向です。

2011年には、東北地方太平洋沖地震の影響により首都圏で液状化を起因とした多くの被害が見られました。東京湾岸部の液状化現象が発生した範囲は42平方キロメートルともいわれています。その中でも千葉県浦安市では、戸建て住宅の傾斜をはじめ水道や都市ガスなどライフラインが寸断され大きな被害となりました。

要点を解説する茶色のジャケット着用の男性
写真⑥要点を解説する茶色のジャケット着用の男性-min.jpg 46.83 KB

最後に、地震に関するちょっとした疑問について紐解いていきましょう。
耐震とは、建物を強化することで地震の揺れに耐える力を持つ構造のことです。柱と柱をつなぐ接合部を金具で補強したり、壁に筋交いを入れたりすることによって建物を強化し、地震の揺れから家を守ります。一方免震は、建物と地盤を別々に切り離し、地震の揺れが建物へ直接伝わらないようにするための構造のことです。建物と基礎の間に取り付けた免震装置で、地震の力を地面へ受け流し建物の揺れを小さくします。
国が定めた耐震等級1~3に該当する住宅を建てた場合、等級によって地震保険料が割引されます。割引率は、耐震等級1で10%、耐震等級2で30%、耐震等級3で50%です。近年増加している地震災害の備えとして、地震保険へ加入しておくと安心でしょう。

また、全国の各自治体では、耐震補強をする既存住宅のために補助金制度を設けています。条件や要件は自治体によって異なるので、窓口やホームページで確認してみましょう。

それぞれ異なる椅子がアクセントのダイニングキッチン
写真⑦東京都_それぞれ異なる椅子がアクセントのダイニングキッチン-min.jpg 441.79 KB

注文住宅の耐震性を考えるなら、立地や環境だけでなく、どんな地盤に家を建てるかを意識して選ぶ必要があります。ハザードマップを参考に、地盤が硬く揺れにくい地域・山やがけが近くではない地域・埋立などがされていない地域を選ぶことが重要です。

R+houseネットワークの工務店では、構造専門の建築士が、地震力や風圧力、基礎設計などさまざまな観点から耐震性を細かくチェックしています。土地探しのお手伝いもしているので、注文住宅を検討されている方は、地域のR+houseネットワークの工務店へ足をお運びください。

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