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注文住宅でできる水害対策は?ハザードマップの見方や高リスクな場所も紹介

設備・性能
更新日:2024.04.27 / 公開日:2024.03.11

マイホームをどこに建てるか考え始めたら、水害ハザードマップを確認しましょう。場所によってリスクの差が大きいため、しっかり調べておかないといざというときに床上浸水や損壊などの被害が生じる可能性があります。
そこで今回は、水害ハザードマップや注文住宅の水害対策について解説します。万が一被害に遭った際に支援してもらえる、保証制度情報もまとめました。マイホームを検討中の方は、内容を参考にしながら水害に強い家づくりを目指しましょう。

鉄骨階段のある広いリビング
目次
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ハザードマップで避難経路を確認する家族のイラスト
写真②ハザードマップで避難経路を確認する家族のイラスト .jpg 98.64 KB

水害ハザードマップとは、河川氾濫や津波など水害による浸水被害状況を予測し、地図に可視化したものです。水害ハザードマップには、以下のような種類があります。
                    
種類概要
洪水ハザードマップ河川の氾濫によって発生する洪水による被害予想
内水ハザードマップ豪雨などの排水処理が間に合わず、水が溢れた際の被害予想
津波ハザードマップ津波による被害予想
高潮ハザードマップ低気圧により海の水位が上昇した場合の被害予想


さらに、どの河川が氾濫するか、どこで津波が起きるかによってマップが異なるため、同じ地域でもいくつのパターンで作成されています。なお、各種ハザードマップは、自治体のホームページや国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から確認可能です。
想定される浸水区域や深さが色分けされており、そのエリアの水害リスクが分かるようになっています。さらに、被害状況だけでなく緊急避難場所・避難経路・通行規制になる可能性が高い道路なども示されています。
「河川や海岸から離れていれば安心」とは限りません。水害による被害を受けやすい場所をまとめました。

【水害が起きやすい場所】

・河川・沿岸部の近く
・急な崖の近く
・周囲より低い土地
・埋立地
・過去に水害が起こった場所 など

上記のような場所では、水害に注意が必要です。例え河川の近くでなくても、周囲より低い土地だと水が流れ込んできます。また、埋立地は地盤が緩い傾向にあるため、水害に弱いのです。

泥水洪水被害よる住宅被害イメージ
写真③泥水洪水被害よる住宅被害イメージ .jpg 100.83 KB

台風や大雨などが発端となり、たびたび水害が発生する日本。近年発生した水害事例から、どのような被害があったのかおさらいしておきましょう。

西日本・平成30年7月豪雨【2018年】

2018年7月、中国や四国、九州など西日本を中心に記録的な大雨が降り、広範囲にわたって水害が発生しました。この豪雨による家屋の被害は、浸水が約30,000棟、全半壊などが20,000棟以上。
また、岡山県倉敷市の小田川周辺では、実際の浸水範囲がハザードマップの洪水浸水想定区域とほぼ一致していたにもかかわらず、51名の方が命を落としました。

参考元:国土交通省「1.平成30年7月豪雨災害の概要と被害の特徴」

熊本県・球磨川水害【2020年】

2020年7月の豪雨により、熊本県の球磨川水域を中心に甚大な被害が発生。球磨川本川の氾濫は34箇所にのぼり、およそ6,110戸の家屋が浸水・損壊被害を受けました。ほかにも、土砂流出や道路の損壊などが起きています。
人的被害も大きく、熊本県内だけでも死者が65名。さらに、大規模な停電、水道管の破裂、下水道施設への浸水といったライフラインにも影響が及び、多くの方の生活に支障が出ました。

参考元:国土交通省 球磨川水害伝承記~後代に残す記録~「1.一般被害」
参考元:国土交通省 球磨川水害伝承記~後代に残す記録~「2.河川被害」
大雨や台風、河川の氾濫、地震による津波など、日本ではさまざまな水害が頻発しています。水害リスクを少しでも抑え、安心して暮らすには土地探しの段階から考慮することが重要です。
ここでは、水害に強い注文住宅を建てるためのポイントをお伝えします。
マイホーム用の土地を購入する前に、ハザードマップの確認は欠かせません。できるだけ水害リスクの高い場所は避け、高台など被害を受けにくいエリアを選びましょう。
なお、2020年8月から不動産取引の際に水害ハザードマップの情報提供が義務付けられました。自分でリサーチしておくのはもちろん、不動産業者からの説明もしっかりご確認ください。

参考元:国土交通省「不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化~宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令の公布等について~」

住宅の地盤調査
写真⑤住宅の地盤調査 .jpg 85.74 KB

住宅自体を水害に強い構造にしておくと、もしものときも安心です。住宅の水害対策には、おもに次の5つがあります。

盛土で敷地全体を高くする

盛土によって敷地をかさ上げすると周囲から水が流れ込むのを防げるので、住宅の浸水リスクを下げられるでしょう。ただし、盛土部分の強度が高くなければなりません。地盤が緩んで沈下しないよう、充分に締め固めたり鋼製の杭を打ったりといった対処が必要です。

高床構造を取り入れる

高床構造とは、住宅の基礎を高くする方法です。高床構造には、1階部分の基礎をかさ上げする「高基礎」と、1階部分を吹き放し空間にする「ピロティ構造」の2タイプあります。居住空間が地上から高ければ、水が迫って来ても床上浸水のリスクが低くなります。

防水壁で住宅を囲む

水害から家を守るには、防水性の高い塀で囲むのも有効です。壁が水の侵入を阻んでくれるので、被害リスク軽減が図れます。とくに、周囲より敷地が低く設計されている場合、防水壁が効力を発揮するでしょう。

防水性の高い外壁を採用する

耐水性のある外壁を採用すると、水位が上昇しても床上浸水しにくい住宅になります。外壁に防水塗料を塗布したり、RC造(コンクリート)にしたりといった方法が採用されています。ただし、玄関などの開口部は外壁でカバーできません。そのため、止水板を設置して水害対策を高めます。

2階でも生活できるようにする

浸水によって1階が使えなくなることを想定し、2階でも生活できるようにしておくと安心です。例えば、2階にも水回りを設置する、各階で分電盤を別にしておく、などです。他にも、屋根に脱出できる出入り口を設けるのもおすすめです。

一戸建ての建築模型を持つ若い男性
写真⑥一戸建ての建築模型を持つ若い男性 .jpg 91.01 KB

いくら対策を講じたとしても、自然災害の前では歯が立たないこともあるでしょう。万が一の事態に備え、水害に遭った際に役立つ保証制度を把握しておくことが重要です。ここでは国の支援制度と、火災保険の水災補償について紹介します。
自然災害によって住宅に大きな被害が及んだ場合、国から支援金が支給されます。被害程度に応じた基礎支援金額と、再建方法による加算支援金額は以下のとおりです。

【基礎支援金額】

・全壊等:100万円
・大規模半壊:50万円

【加算支援金額】

・建築・購入:200万円
・補修:100万円
・公営住宅を除く賃借:50万円

なお、支援金の上限は基礎支援金と加算支援金を合算して最大300万円となっています。

参考元:内閣府 防災情報のページ「公的支援制度について」
火災保険の中には、水災補償を付帯できる商品があります。火災保険の水災補償では、次の3つによる被害を保証してもらえます。

                
災害の種類概要
洪水河川の氾濫や融雪による洪水被害を補償
高潮海面の上昇によって海水が流れ込んだ際の浸水被害を補償
土砂崩れ土砂崩れ・土石流による被害を補償


どこまで補償されるかは、対象範囲を「建物」「家財」「建物と家財」のうちどれを選択するかによって異なります。例えば、建物だけが対象なら浸水によって水浸しになった家財は補償されません。反対に、家財だけを選択していると床や畳の張り替えは補償の対象外となるでしょう。
また、具体的な対象物は保険会社によっても違いがあることも。住宅の購入に伴って火災保険に加入する際は、水災補償に関する内容もチェックしておきましょう。

リビングと小上がりの畳
写真⑦徳島県_リビングと小上がりの畳.jpg 480.05 KB

豪雨や河川の氾濫などによる水害が頻発している昨今、被害をなるべく回避するにはハザードマップをチェックして、高台などリスクが低い土地を選ぶ必要があります。併せて水害に強い住宅構造にしておくことで、より安心して暮らせるでしょう。
R+houseネットワークの工務店では、お客様の土地探しを全力でサポートします。土地が見つかった後は、第三者機関による敷地調査を実施。調査の結果から土地の特性を加味した建築プランをご提案いたします。注文住宅を検討中の方は、ぜひR+houseネットワークの工務店にお声がけください。
>>水害等のリスクに備えて高性能な注文住宅を建てるなら、詳しくはこちら
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