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非日常を楽しむ住まい

R+houseネットワークの施工事例から、今回は非日常を楽しむ住まいをご紹介します。

お客様から求められた要望は空間としての“非日常性”と動線や住みやすさとしての“回遊性”でした。南側にはご実家のよく手入れをされた庭があり、その借景をプランの起点として、きわめて抽象的でシンプルなファサードの平屋の佇まいをご提案しました。合理的に通路を省くのではなく、暮らしながら回遊する楽しさを感じられるように、細長いボリュームの中にあえて通過できる空間を散りばめるようなプランとしています。

道路から見える建物の外観はきわめてシンプルな佇まい。玄関までのアプローチに奥行を与え、 期待感を感じさせるファサードです。

季節の移ろいを感じるご実家の庭を借景にしつつ、視線が合わないような開口部の配置に
しています。

非日常性(外部)と回遊性(内部)
道路から見える建物の外観はきわめてシンプルな佇まい。玄関までのアプローチに奥行を与え、 期待感を感じさせるファサードです。
回遊性をもったSICは通り抜けの動線であるとともにご主人の趣味で溢れています。各収納空間はすべて、日常の動線として通り抜けができるプランニング。

外観の印象そのままに、大屋根を感じられる開放的なLDK空間となっています。

構造梁をうまく空間のアクセントとし、借景を望む開放的なキッチンダイニングを実現しています。

好きなお酒を背景に、家族の会話が弾む開放的なキッチンダイニング。
回遊性をもったSICは通り抜けの動線であるとともにご主人の趣味で溢れています。各収納空間はすべて、日常の動線として通り抜けができるプランニング。

薄暮の時間になると温かな照明が軒下を照らし、玄関までのアプローチを演出します。

織田 遼平のプロフィール画像
建築家プロフィール
織田 遼平 | Oda Ryohei

家はかたちを変えずに、その場所にずっと在り続けるもの。
いつまでも愛着を持って大切に使ってもらえる住まいであってほしい。
そんな想いで、日々設計の仕事に向き合っています。

1984年 神奈川県生まれ
2007年 中央大学理工学部土木工学科卒業
2007年 現場監督として分譲住宅メーカーに勤務
2010年 デザインファーム建築設計スタジオ入学
2012年 彦根建築設計事務所入所
2019年 織田建築設計室/ODA DESIGN ATELIER設立

趣味:音楽、映画、落語

Architect Column

建築家 おススメ “ケンチク”

R+house登録建築家、小林 剛先生におススメ “ケンチク”を聞いてみました。

十数年前に訪れた、ニテロイ現代美術館(1996年開館)をご紹介します。ニテロイ市は、リオデジャネイロから車で15分程度、湾を隔てた対岸にあります。ブラジル建築の巨匠オスカー・ニーマイヤーによって設計された美術館は、自由な曲線と、花をイメージして生まれた形が特徴的です。岬の先端に建つ個性的なデザインの建物ですが、周辺の山々や自然の風景の中で不思議なほど違和感なく存在します。内部は美術品の展示はもちろん、360°の風景が楽しめるよう設計されており、リオの街を眺めることもできます。地元の人々からも愛されるこの建築は、ニーマイヤーが88歳の時に手掛けた作品。自分自身も、永く自由な発想を持って設計に取り組みたいと感じさせられる経験となりました。
Architect:オスカー・ニーマイヤー
Location: ブラジル ニテロイ市

曲線的な赤いスロープと、宙に浮いた白いUFOのような建物。設計者は「花をイメージしてデザインした」と語っています。

海に突き出した岩場に建つ姿は、ブラジルの明るい風景とよく馴染みます。

ブラジルの空に浮く円盤?
小林 剛のプロフィール画像
建築家プロフィール
小林 剛 | Kobayashi Tsuyoshi

場の魅力を引き出し、時とともに移ろうその場所の意味や役割を受けとめる
シンプルで寛容な建築をデザインします。

1973年 兵庫県生まれ
1996年 明治大学理工学部建築学科 卒業
1998年 同大学理工学研究科建築学専攻博士前期課程 修了
1998年 建築関連メーカー 勤務/建築設計事業所 勤務
2004年 株式会社コムデザイン
2007年 フリーランス
2009年 アナザーアパートメント株式会社 設立

趣味:スポーツ観戦、散歩

Architect Column

建築家 おススメ “ライフ”

R+house登録建築家、松島 潤平先生におススメ “ライフ”を聞いてみました。

家庭内部室

家庭内部室

よくぞこのコラムに声を掛けてくださいました。ギター、革ジャン、デニム、マンガ…。奥さんが呆れ果てるほどの没入志向と酷い収集癖があるので、この連載は僕だけで回せる自信があります。今回はまずその拠点について。自宅のどまんなかにリビングを押しのけてスタジオを作りました。家の中心に軽音部室。防音仕様ですが、窓を設けてちょっと音が漏れるようにしています。これを書いている今も、三つ子たちの鳴らす音が吹き抜けを通じて聴こえてきます。どうでもいい音に潜む、彼らの瞬間的な試みが分かります。部室でのささやかな自己探求、そして仲間と何かを企む時間は自らを振り返っても本当に美しいものです。プランのなかに「部室」、いかがですか?

松島 潤平のプロフィール画像
建築家プロフィール
松島 潤平 | Matsushima Jumpei

ご要望の根底にある豊かな生活のイメージと
敷地環境の特性を丁寧に読み取り、

その人・その場所だからこそできる魅力的な住宅をご提案します。

1979年 長野県生まれ
2003年 東京工業大学 建築学科 卒業
2005年 東京工業大学大学院 建築学専攻 修士課程 修了
2005年~ 隈研吾建築都市設計事務所 勤務
2011年~ 松島潤平建築設計事務所 主宰
2016年~ 芝浦工業大学 非常勤講師
2019年~ 東京大学 非常勤講師
2021年~ 北海道大学大学院 准教授

趣味:ギター、レザージャケット・デニム収集、漫画レビュー
三つ子の父

R+house Column

R+house編集部コラム

R+house編集部から家づくりに関するコラムをお届けします。

Topics01 建築家住宅と「間」の新しい関係

建築家住宅と「間」の新しい関係

いきなり「間(MA)」と言われても、ピンとこない方も多いでしょう。「間」とは、日本独特の時空間のあり方です。近代西洋の合理的な捉え方では、時間と空間はそれぞれ独立した尺度と考えられがちですが、日本ではその境界は曖昧です。「時間に間がある」と言い、「空間に間がある」と言うように、私たちは古来より、物と物の「余白」や「関係性」の中にこそ、豊かな意味を見出してきました。

この感覚を世界に知らしめたのが、1978 年にパリで開催された展覧会『MA: Espace-Temps du Japon(間:日本の時空間)』です。建築家の磯崎新を中心に、一流のクリエイターが集結し、目に見えない「間」を世界に提示しました。例えば、地鎮祭の「しめ縄」。縄が張られた瞬間に現れる「間」には、物理的な広さを超えた精神的な意味が宿ります。磯崎氏はこれを、20 年ごとに建て替えられる伊勢神宮の「式年遷宮」になぞらえました。完成された「物」ではなく、永遠に繰り返される「建てるというプロセス(再生)」の中にこそ、日本の美意識である「間」があると考えたのです。

さて、この独特な感覚を持つ私たちは、現代においてどのような家を描くことができるのでしょうか。日本では「住宅は30 年くらいで資産価値がなくなる」とよく言われます。もしかすると私たちは、「形あるものはいつか壊れる」という「間」の美学を、家を短期間で建て替える無意識の理由にしてしまっているのかもしれません。しかし、今の時代、その移ろいやすさが単なる「使い捨て」の言い訳になってしまうのは、あまりに寂しい気がします。性能という「確かな品質」で家を守り、建築家が描く「間」で暮らしを彩る。 そんな、時を経るほどに愛着が湧く住まいに、皆さんならどんな「間」をデザインしたいと思いますか?
(編集部 T.N.)

Topics02 「つぐ minäperhonen」展 時を重ねて深みを増すデザイン

「つぐ minäperhonen」展
時を重ねて深みを増すデザイン

タンバリンや蝶々のテキスタイルでお馴染みのブランド「ミナペルホネン」。その創設30 周年を記念する「つぐ minä perhonen」展(世田谷美術館)に行ってきました。6エリアで構成された展示、まず最初のエリアでは、ミナペルホネンの代表的なテキスタイル約180種を集めた「お花畑のようなインスタレーション」が目に飛び込んできます! 一気にテンションが上がり、続くエリアへ。ここでは、各デザインがどのように生まれたか、デザイナーの発想のヒントや創造の過程を実物と共に知ることができます。次は、テキスタイルを支える協業各社の仕事を紹介するエリア。彼らは決して下請け業者ではなく、ミナペルホネンのプロダクトを共に創造する重要な存在であることがわかります。特に、繊細な刺繍に携わる職人が語る映像では、その仕事に懸ける情熱に胸が熱くなりました。最後は、経年劣化等で着られなくなったお気に入りのミナペルホネンの服を、デザイナーがリメイクしたビフォーアフターの実物を見られる夢のようなエリア!思い出の詰まった家を、今の暮らしに合わせてリノベーションするのと似ているかもしれません。

ミナペルホネンは、服に限らず、家具や器のデザイン、店舗や宿の空間ディレクションも行っています。例えば、椅子の張地「dop」は、擦り切れたら張り替えるのではなく、表地の下から別の色が現れるという、経年変化を積極的に楽しめる心憎いデザインです。

展覧会を通して感じたのは、誠実なものづくりを貫くミナペルホネンの真摯な姿勢です。人と人、人と物、時代と世代を繋げていくデザイン。「つぐ」というタイトルに納得して会場を後にしました。
(編集部 M.M.)

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