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建築家に学ぶ、良いデザインとは

建築家が「カンジ」と「カタチ」を大切にしたデザイン住宅

デザイン住宅には施主の「こんな家に住みたい」という願いと、施主の要望に応えようとする建築家の思いが込められています。しかし、最後には目に見えない思いを形にしなければなりません。今回は「カンジ」を「カタチ」にする、「それが大事な役割である」と語る建築家が手掛けたデザイン住宅を紹介します。

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建築家 いとうあつし

建築家 いとうあつし
スタヂオA.I.A. 伊藤淳建築設計事務所

三重県出身のいとうあつしさんは、スタヂオA.I.A. 伊藤淳建築設計事務所に所属している建築家です。
名古屋工業大学社会開発工学科建築コースを1991年に卒業して、鉄骨工場や地元の工務店で建築家としての経験を積みました。
その後、1996年に伊藤淳建築設計事務所を設立し、現在に至ります。
デザイン住宅なので美しい形を重視しながらも、施主の思いを感じて設計することにこだわっています。
居心地の良い空間を作ることで、施主に愛され、子世代やその先まで長く大事にされる住まいになるという考えです。
スタヂオA.I.A.のコンセプトにもあるように、いとうさんは建築を考える時から建てた後まで施主と良い関係を築いてくれます。

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階段下にスタディコーナーとパントリーを設けています。通路としての役割を果たすために踊り場を薄くし、高さを確保しています。

「カンジ」を「カタチ」にした階段下の秘密

「デザイン住宅を設計することは暮らしをプランすること」と、いとうさんは語ります。
施主がどのように暮らしていくかイメージしながら設計することで、子供や孫の世代まで住み続けたいと感じる住宅に仕上がります。
建築は造形的に美しい「カタチ」で表現するものですが、大切なのは心地良さや居心地の良さといった「カンジ」です。
いとうさんは「カンジ」を「カタチ」で表現することを重視しています。
そんな建築家の思いが垣間見えるのは階段下です。
通路の役割があるので、高さを確保するために階段の中腹が薄くなっています。
機能性だけではなく、居心地の良さを「カタチ」にできるように階段下には『スタディコーナー』と『パントリー』を設けていることがポイントです。
スタディコーナーは子供が勉強する、または簡単な仕事の作業をする時に活用できる勉強スペースを指します。
パントリーはキッチンの収納スペースです。
スペースを無駄遣いせず、使い勝手の良いデザインになっています。
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畳コーナーは居間につながる場所で、奥にカウンター板を設置しています。棚としての機能以外にもお子さんの学習をみることも可能です。

施主の要望から生まれた繋がりを重視した住宅構造

美しい「カタチ」から心地良い「カンジ」を得て貰うためには暮らしをイメージすることも大切ですので、打ち合わせも重要となります。
限られた時間であっても打ち合わせは施主の思いを直接聞ける、絶好の機会です。
打ち合わせの段階で施主の要望をしっかり感じ取れるように、ヒアリングにこだわっています。 そして、施主の要望から生まれたのが、階段を取り囲むように各部屋が繋がっている独特の構造です。
玄関からリビングに入ると畳コーナーから1番奥に位置している子供部屋まで、視線が届きます。
繋がりを重んじる構造にすることで、日常生活で家族が接しやすい空間に仕上げられていいます。畳コーナー越しにウッドデッキを望むことも可能です。
ここは太陽の光がよく差しこむので、自然の豊かさを感じることができます。
心と体を癒す自然は、居心地の良い住宅環境を演出します。
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ロフトへ上がるための階段には大きめの踊り場があります。窓から山々や花火を望むことができ、憩いの場として活用できます。家のシンボル的な存在です。

景観が望める住宅のシンボル的存在の踊り場

生活動線・階段を取り囲む構造・家族の繋がりの他に、窓から見える自然豊かな景色からも「カンジ」を汲み取って貰えるような工夫が施されています。
屋根裏部屋にあたる『ロフト』へ繋がる階段には、『踊り場』が設けられています。
踊り場は階段の途中にある、広い平坦な部分です。子供や高齢者が転倒しても踊り場で食い止めることができるため、安全性に優れています。
休憩スペースも兼ねていますが、最大の特徴は踊り場に大きな窓を配置していることです。
窓から周辺に広がる山々、夏場は花火を望むことができます。
普段はベンチとして活用できるので、ホームシアターを楽しめます。
踊り場に安全性・休憩スペース・景観スポット、3種類のメリットを盛り込んでいることが魅力です。
内部だけではなく、外観も自然に溶け込める工夫があります。山の麓に位置することから、山の裾のようなデザインに仕上がっています。
建物越しに山々が見えるように計画したそうです。

まとめ

いとうさんは施主や建築家の思いとなる「カンジ」を「カタチ」にして、デザイン住宅に盛り込んでいます。
使い勝手の良い階段下、施主の要望を叶えた独特の構造、景色を望める踊り場など工夫が満載です。
暮らしをイメージしながら設計することで、居心地の良い住宅に仕上がっています。

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