建築家に学ぶ、良いデザインとは

変形敷地が楽しい平屋に

今回は建築家の三浦直樹さんが担当された住宅を参照しながら、家づくりのポイントを探っていきたいと思います。デメリットのように思える住宅の条件が、建築家が入ることでどのようにメリットへと変わったのかを見ていきましょう。

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建築家 三浦直樹

建築家 三浦直樹
三浦直樹建築設計事務所

三浦直樹さんは1982年滋賀県生まれ、2005年に京都造形芸術大学芸術学部環境デザイン学科を卒業後、京都府でも指折りと言われている日本建築の設計事務所の横内敏人建築設計事務所に入所して修行されました。その後2013年に三浦直樹建築設計事務所を設立して独立、主にデザイン住宅の設計を中心に手がけている新進気鋭の建築家さんです。三浦さんは住宅のデザインにおいて見た目の美しさだけでなく「あたりまえのものがあたりまえに、あるべきものがあるべきところにある」という美しいあり方をしているかどうかということを大切にされているとのこと。そこに住む人の生活に大きな影響を与える個人の住宅のデザインだからこそのこだわりと言えるでしょう。

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中庭を設けることで、側面だけでなく中央にも光と緑を取り込むことができるようになっています。

平屋にすることで敷地のデメリットをメリットに

この住宅は京都では「鰻の寝床」と呼ばれるような、間口が約8メートル、奥行きが約40メートルという少し特殊な形をした敷地に建てられた平屋です。
このような特殊な敷地の場合には、そのことがデメリットではなくむしろメリットとなるようなデザイン上の提案が必要不可欠ですよね。
もしこの長い奥行きを持つ敷地に2階建ての家を建てたとしたら、大きなスペースを敷地内に残してしまうことになります。
その余ったスペースを庭として活用することもできますが、そうすると大変なのが維持管理。
施主である共働きのご夫婦にとっては大きな負担となるでしょう。
そこで提案されたのが2階建てではなく平屋とすること。
そうすることで敷地内に余るスペースを減らし、敷地の端ではなく敷地の中央部分に小さな中庭スペースを設けています。
確かに建物に囲まれた中庭スペースでしたら外の庭スペースよりも管理する負担がぐっと減ります。
空間の使い方に精通されている建築家さんならではの提案ですね!
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間口3間をめいっぱい使ったLDK。中庭から差し込む光や奥の部屋とつながった視線で広がりを感じる仕掛けに。

将来の使い方や周辺の街並みも考慮に入れて

このような変わった敷地に家を建てる場合、建築工事費は割高になってしまうもの。
ましてや平屋にすると2階建てよりも基礎工事の部分や屋根の部分の工事にかかる費用がどうしてもかさんでしまいます。
しかしこちらの住宅はそもそも敷地が格安の価格であったことが幸いしたようです。
また子供たちが独り立ちした後の夫婦の生活や周辺の風景との調和といった様々な要素も、2階建てよりも平屋の方がメリットが大きいという提案につながったとのこと。
平屋であることのメリットとデメリットをよく考慮したうえでの判断なのですね。
この住宅のように変形敷地に家を建てる場合には、住宅の施工に関わる様々な人たちとの意思疎通が重要になってきます。
設計の段階であちらを立てればこちらが立たない、というようなことになりがちなものです。
その点こちらでは建築家さんが設計者として中に入ることで敷地の特性と施主の暮らし方、工務店の事情などがピタッと一致したとのこと。
関係者の誰もが満足できるような住宅になっているよい一例と言えるでしょう。
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リビングの天井は屋根と同じ勾配天井に。それぞれの部屋の趣が異なることで空間にメリハリをつけています。

かわいい外観と工夫の凝らされた室内空間

住宅の内部を見ていきましょう。
玄関を抜けるとリビングなどのパブリックスペースがあり、中庭を挟んで奥の和室というプライベートスペースがあります。
このようにスペースを明確に分けることで空間にメリハリがつき、平屋でも家族がそれぞれの居場所を持てるようになっています。
また間取りは廊下を極力なくし、奥の部屋まで視線がつながることによって少しでも広く感じるように工夫されています。
奥に長い形状であることをデメリットではなくメリットとして生かした設計ですね。
またこちらの住宅で特に特徴的なのが、切妻屋根が印象的なかわいい外観。
建物の側面を通る道路からこの住宅を見た人はその細長い形状に一体何の建物だか分からないかもしれませんが、前に回ってみると軒の奥の木貼りの外装も相まって、まるでおもちゃか積み木のお家のようです。
そんな愛らしい外観と、様々な工夫が凝らされた室内空間。
建築家のアイデアがたくさん詰まった楽しい住宅ですね!

まとめ

いかがでしたか?
一風変わった敷地でも、アイデア次第で楽しい住宅になるのですね。
今回のページが皆様の家づくりの参考になりますように。
また随時レポートをして参りますので、次回もどうぞお楽しみに!

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