建築家と建てる家を、身近に、手軽に

建築家に学ぶ、良いデザインとは

家族のライフスタイルを守る「内に開く住宅」

今回は密集した住宅地のなかでも外的ストレスを開放し、家族のライフスタイルを守るよう作られた家のご紹介です。

家族のライフスタイルを守る「内に開く住宅」 画像1
建築家 中村文典

建築家 中村文典
n+archistudio

1972年山口県生まれ。1993年に京都科学技術専門学校を卒業。
ゼネコン設計部、設計事務所などを経て2010年にn+archistudioを設立。
中村さんがもっとも大切にされているのは、人それぞれの価値観を大切にすることです。
こだわりや考えは人それぞれ違います。
その違いを活かして、その人だけの「自分サイズの空間」を造ることをモットーとされています。

家族のライフスタイルを守る「内に開く住宅」 画像2

間取りは吹き抜けを中心として回遊性のあるものに。
インテリアはクールなインダストリアル系でまとめています。
落ち着いた色合いで大人な雰囲気です

心理的な距離感を造りだす家

細かく土地が分割されていく住宅地では、建物が密集していくにつれて近隣関係は希薄になっていきます。
コミュニケーションも家族単位のものになり、近隣の住民同士の接点も減少していきます。
中村さんはこの建物の密集と近隣とのコミュニケーションの希薄化は、”適度な距離感”が失われた結果起きているのではないかと考えました。
この”距離感”を物理的・心理的なものとして分けたとき、建物の密集という”物理的な距離”に関しては、予算や利便性などが影響するため簡単にコントロールができません。
そこで今回の計画は、コントロールが可能な”心理的な距離”を造ることをテーマとしました。
まずこの”心理的な距離”を「家という誰からも浸食されないスペースがあり、その中にいる自分」と「周囲との距離」として考えました。
心から安らげる安全でプライバシーが守られた「家」があるからこそ、周囲と適度な距離を保てるのではないか、というのが中村さんの考えです。
ただしそれは籠るためのものという意味ではなく、中村さんは「外的ストレスを開放する家」を目指しました。
家族のライフスタイルを守る「内に開く住宅」 画像3

玄関のオブジェのような螺旋階段。
おしゃれで圧迫感もなく、スペースをとりません。壁に写真を飾ればギャラリーにもなります。

印象的な螺旋階段のある玄関

この家の外観は道路側に窓は一切ありません。
家の内と外をつなぐ役割の窓を排除した代わりに、周囲を拒絶しないものとして格子戸を設けました。
光が降り注ぐ玄関も土間空間として、ガレージにしたり、趣味のスペースや蚤の市的なマルシェを開いたり、使い方に制限はありません。住人のイメージ次第で様々な用途に使用でき、外部とのコミュニケーションの場としても最適です。
玄関を開けて中に入ると、1階と2階をつなぐ吹き抜けの螺旋階段が存在感を放っています。デザイン性の高いフォルムの螺旋階段は、おしゃれなだけでなく踊り場が必要ないためコンパクトで圧迫感がありません。吹き抜けの壁にフォトフレームを飾ることで、より階段がインテリアの一部のように引き立ち、独創性のある空間となっています。
大きな観葉植物を置いた中庭のような玄関も、土間スペースとつながり半野外的な感覚で使うことができます。
螺旋階段の上からたっぷりの光が降りそそぎ、明るく素敵な玄関です。
家族のライフスタイルを守る「内に開く住宅」 画像4

収納がたっぷりある家事室。奥様の書斎としても使えます。
リビング側に窓があるので家事をしながら家族の様子もうかがえます。

吹き抜けを中心とした家事動線に配慮した間取り

2階は吹き抜けを中心とした回遊性のある間取りになっていて、家事動線にも配慮されています。
インテリアはレザー、木、アイアンを取り入れたインダストリアル系でまとめています。
中村さんは家も道具の一つとして使い込んで欲しいという思いから、このヴィンテージ感のある内装を選びました。
リビングから階段を挟んだ向かい側には家事室があります。広めのスペースを取った家事室には机を置くことができ、奥様の書斎としても使用可能です。
リビング側にはガラス窓を設置し、家事や作業をしながら家族の様子が見えるように工夫されています。
家事室はクローゼットにもつながっており、リビングまで回遊性を持たせています。
リビング、キッチン、家事室、クローゼットとスムーズに移動でき、快適に家事ができる間取りとなっています。
「外的ストレスから解放される場所」をテーマとした今回の住宅。
自由に使える土間空間や趣味を楽しめるギャラリーのような玄関、家事を楽にする動線など、それぞれのライフスタイルに合わせて楽しく暮らせる「内に対して開いた住宅」となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
個人の趣味や家族とのコミュニケーションを楽しむことのできる工夫がたっぷりですね。
ストレスから解放され充実した生活が送れそうです。
ぜひ参考にしてみてください。

過去の記事をもっと読む