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建築家に学ぶ、良いデザインとは

風や光を通す「抜け」がある居心地のいい家

今回は分譲地に建てられた住宅のご紹介です。
分譲地のコンセプト、周囲の住宅とのバランスなど様々な条件を考慮しながらも、居心地の良さを追求したデザインを見ていきましょう。

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建築家 今知亮

建築家 今知亮
一級建築士事務所アーキテクチャー・ラボ KONオフィス

1981年北海道生まれ。2006年室蘭工業大学大学院 工学研究科博士前期課程建設システム工学専攻を修了し、
有限会社アーキテクチャー・ラボに入社。2016年にアーキテクチャー・ラボ KONオフィスを設立した。
今さんが住宅をデザインするうえで最も大切にされていることは「プロセス」です。
クライアントと意見を交わしあい、法規制による制限や暮らしていく上での不便さなどを独自の視点と切り口で解決します。居心地の良さだけではなく、愛着が湧いて思わず自慢したくなるような心躍る住宅づくりを目指しています。

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玄関と洗面所を兼ねることで開放感のある広々としたスペースに。
玄関を開けると、LDK・ガレージ・庭が同時に見える開放的な空間になっています。

土地の特徴を活かした住宅デザイン

静岡県にあるこの住宅は、ご夫婦とお子さん2人が住むことを想定して建てられました。
白い外壁は1階と2階のボリュームが異なるという外観の特徴を活かすため、ガルバリウム鋼板の角波材を1階部分は横貼り、2階部分は縦貼りにしています。向きを変えて貼ることでメリハリが生まれ、真っ白な外観に個性を与えています。
敷地は4つに区切られた分譲地の中にあり、道路と接する出入り口が細長くなっていて、その奥に家の敷地がある旗竿地となっていました。
分譲地としてのコンセプトが建築協定により決められていること、バーベキューや家庭菜園が楽しめる共有の庭に面していることが特徴でした。
敷地をよく観察すると、隣地以外は周囲の視線をさほど気にする必要がなかったため、外の景観を取り込みつつ共有の庭との関係をつくりだせそうだと考えました。
そこを最大限活かし、明るさと広がりを感じられる住宅にしたいと思いました。
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ガレージと窓でつながる明るいLDK。
吹き抜け・ガレージ・玄関・洗面スペースが一体化した空間となっており、
平面的な空間の広がりと明るさをつくりだしています。

視線の「抜け」をつくることで広がる空間

今回の住宅計画でもっとも大切にしたことは、「抜け」をつくりだすことです。
そこでまずは、建物の圧迫感を軽減させるために平屋をベースに考えました。平屋は外と建物が地続きになっているような印象を与えるため、土地全体を実際よりも広く見せることができます。そして一部を2階建てにすることで、隣接する住宅があっても2階からの見晴らしがよくなるのと同時に、室内に十分な採光を取り込めるようにしました。
道路側にあるガレージの開口部からは室内や敷地の奥が見えるようにし、平面的にも立体的にも「抜け」をつくりだしました。
こうすることで視線が止まることなく奥に広がる景色や空に流れていき、空間の広がりを感じることができるのです。
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吹き抜けは子供部屋の共有スペースが面していて、LDKから子供の様子を伺うことができ、家族間のコミュニケーションが自然と生まれます。

吹き抜けを中心とした開放的な室内

今さんがこだわった「抜け」は、室内にも多く取り入れられています。
ダイニングは吹き抜けになっており、そこに面して主寝室と子供部屋を配置しています。
各部屋に開口部を設けることで立体的な広がりをつくりだし、全体が明るく風通しの良い家となっています。
2階には様々な方面にたくさんの窓を設けました。階段を下りるときは、上部の窓から空を、1階の窓からは庭とさらにその先にある分譲地共有の庭が見えます。
このように、室内にいても視線が自然と外に抜けるように工夫されています。
LDKと玄関と洗面スペースは仕切りがなく一体感のある雰囲気です。また、ガレージとは大きな窓でつながっており、明るい光が降り注ぎます。
外の景色との統一感を出すために室内は木目を活かしたフローリングと家具でまとめ、真っ白な壁紙のアクセントとして一部に板張りの壁をつくりました。
この内外につくられた「抜け」の効果は、内部空間の居心地を良くするのはもちろん、外部空間である分譲地全体を視野に入れ、光や風が通るような環境をつくりだしたいという今さんの思いが込められているのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
分譲地全体のコンセプトやバランスなど制限がある中で住み心地の良さも両立させた、今さんの創意工夫が光る住宅ですね。
皆様のお家づくりの参考になれば幸いです。

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