建築家に学ぶ、良いデザインとは

プライバシーが守られる光庭の仕掛け

今回は、都市部の住宅街につくられた家のご紹介です。
自然光を取り入れながらプライバシーも守る、森田さんのデザインを見ていきましょう。

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建築家 森田淳平

建築家 森田淳平
一級建築士事務所森田デザイン事務所

1974年大阪府生まれ。1998年東京理科大学理工学部建築学科卒業。2001年早稲田大学大学院理工学研究科卒業。
いくつかの建築事務所を経た後、一級建築士事務所森田デザイン事務所を主宰。
森田さんにとっての住宅デザインとは、家族・住まい方・街など、あらゆる関わりをカタチにすることです。
心地よく豊かな暮らしが実現できるための最も適した答えを、新しい技術と共に考えだし住まい手に提案する。
それが建築家の使命だと考えています。

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玄関ポーチの光庭。
光庭に面して玄関、リビングの吹き抜け、洗濯室内干しスペースが配置されています。

室内に光を取り込む「光庭」

水面のように外の景色を映し出し、独特の存在感を放つこの家は、30代のご夫婦と小さいお子さん2人の4人家族のために建てられました。
外壁の仕上げは、美しい光沢が特徴のR+houseオリジナルのMINAMOピュアブラックを採用しています。
今回の敷地は都市部の家が建ち並んだ場所にあり、3面が道路に面していました。
3面道路を挟んだ向かいの7軒の住宅が道路側にバルコニーを設置しており、3方向から見られているような状況です。周辺がこのような環境でもプライバシーを確保しながら自然光を沢山取り入れられる住宅を作ることを計画しました。
森田さんが考えたその仕掛けが「光庭」です。
「光庭」とは、主に住宅の中心部に作られる建物や壁で囲われた庭のことで、光を取り入れることを目的としてつくられます。
森田さんはまず、玄関ポーチを外壁に囲まれた中庭として作りました。そして内部をホワイトで仕上げることで、太陽光が跳ね返り自然光で満たされる光庭としたのです。
真っ黒な外観の開口部をくぐり抜けると真っ白な庭が現れる、その対比も魅力的ですね。
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リビング上部の吹き抜け。
東側の大きな窓からバウンドした自然光が入るように計算されています。

プライバシーと開放感を実現する庭

光庭の仕上げはMINAMOピュアホワイトを使用しました。
上部は吹き抜けとなっており、空と一体化したような開放的な空間となっています。
壁に囲まれた光庭は、隣家や通行人の視線を気にせず自由にくつろぐことができます。
また、道路からも守られているため、夏はプールを出したり、子供の遊び場として最適です。
室内と庭は大きな窓で繋がっているので、リビングから庭で遊ぶ子供の様子を見守ることもできます。
2階は外部から見えないよう配慮された洗濯室内干しスペースとしても機能するようにしています。
今回のような三方を道路に囲まれた敷地は窓の配置が難しいのですが、光庭をつくることで道路に面した窓は最小限としました。
都市部の住宅地でもプライバシーを保ちながら光や風を感じることができる、森田さんのアイデアが光る庭となっています。
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ダイニングには壁側にL字型のカウンターを設置しました。
スタディスペースとしても利用できます。階段はR+houseオリジナルの鉄骨階段です。

柔らかな自然光で満たされるLDK

リビングにも光庭に隣接させて吹き抜けを設けました。
光を南側から直接取り込むのでなく、東側に向けられた大きなFIX窓からホワイトの光庭でバウンドした自然光が入るようにしています。直射日光ではなく、バウンドさせた光を取り入れることで、柔らかな明るさの吹き抜け空間となるよう工夫されています。
LDKに面するように奥様の個室、旦那様の個室、家族それぞれ個別に管理できるロッカースペース、3畳の畳コーナーを配置しています。家族との空間と一人で落ち着ける時間、両方を大切にできるように配慮されています。
光が取り入れにくい立地条件でも、光庭や吹き抜け、窓の位置を計算することで、自然光で満たされた明るい住宅となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
向かいに住宅が建ち並び道路に囲まれた敷地でも、工夫次第で自然の光や風を十分取り入れることができるのですね。
皆さまの家づくりの参考になれば幸いです。

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