建築家に学ぶ、良いデザインとは

安心して暮らせる、バリアフリーの家

車椅子での生活、またそれを介助する人の負担をいかに軽減し快適に暮らせるようにするか。
深澤さんのアイデアが詰まったデザインを見ていきましょう。

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建築家深澤 明

建築家 深澤 明
深澤設計

1972年栃木県生まれ。1996年日本大学理工学部建築学科卒業。
1996年から2003年まで野沢正光建築工房に勤務。2004年に深澤設計を設立した。
深澤さんは、住宅とは毎日の暮らしを支える大切な器であるとお考えです。
たとえデザイン的に優れていても、住まい手がしっくりこなければ良い家とはいえません。
心地よく住める家づくりをするために、住まい手が何を重視しているのかを対話を通して聞き出し、
デザインに取り入れることを大事にしています。

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バギーの取り回しにも充分な広さを確保した玄関土間とホール。
段差は砂埃を室内に入れない程度に最小限に抑えています。

車椅子でスムーズに移動できるエントランス

今回の敷地は郊外に分譲された街区の1区画で、閑静な住宅街にありました。
ご家族に身体的なハンディキャップがあり、その介助をしやすくするための工夫やバリアフリーが大きな課題となりました。
バリアフリーは個々の身体状況に合わせる必要があり、教科書的な工夫だけで対応できるものではありません。そこで深澤さんは、日々の生活や介助の仕方について念入りにヒアリングを行い、あらゆる可能性を検討しプランニングを行いました。
まずは玄関に隣接する形で福祉車両も停められるガレージを作りました。
屋根を付けることでガレージから玄関まで雨に濡れずに移動できるようになっています。
玄関までの経路には車椅子に対応したスロープを設け、玄関の段差は極力なくしています。
外から中へ、ストレスなくスムーズに移動できるよう工夫されています。

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LDKの奥には小上がり状の畳スペース。
キッチンからリビング・ダイニング・畳スペースが見渡せるような位置関係になっています。

介助のしやすい間取りと収納

玄関の土間部分とそこに続くホールは、車椅子の取り回しに不便のないよう広めに作られています。また玄関には介助用品をしまうことのできる大きめの収納を設けました。
上部に吹抜けを作ることで、ガレージの屋根で暗くなりがちな玄関を自然光により明るい空間にしています。
リビングの一角には、就寝することもできる畳スペースがあります。
キッチンからリビング・ダイニング・畳スペースを見渡せる配置にすることで、常に見守りながら作業を行えるよう配慮されています。
またリビングのソファ・畳スペースは、両方からテレビが見られるような位置関係になっています。
快適に生活できるための深澤さんの細やかな気配りが感じられますね。

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2階南側のベランダ。
建物と隣接している東側には袖壁を、道路に面している西側にはルーバーを設け視線を遮っています。

ゆったりと過ごせる広いインナーテラス

基本的に生活は1階で完結するようになっていますが、
階段も傾斜を緩やかにして介助の負担を減らすようにしました。
2階のベランダはインナーテラス状にすることで、道路からの視線を和らげプライバシーを確保しています。
建物が隣接している東側には目隠しのための袖壁を設けました。
南側で日当たりもよいこの場所は、様々な使い方ができるよう4.8m×1.6mの広さを確保。
物干しスペースとしてはもちろん、読書をしたりくつろいで過ごせる空間となっています。
吹抜けから光が降り注ぐ玄関やゆったりとしたベランダなど、車椅子の移動や介助のための設えがデザインに違和感なく溶け込み、自然で居心地のよい住まいとなっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日々の生活での不便や不安を想定し、その負担を減らすための深澤さんのアイデアが散りばめられたデザインですね。
皆さまのお家づくりの参考になれば幸いです。

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