建築家に学ぶ、良いデザインとは

家族を守り、育てる家

今回は周囲に山と海、工業地帯がある敷地に建てられた家のご紹介です。
南下りの斜面地で、景色を取り入れながらプライバシーにも考慮した住宅デザインを見ていきましょう。

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建築家 鹿田 健一朗

建築家 鹿田 健一朗
鹿田建築設計事務所

1967年福岡市生まれ。
1991年に東海大学工学部建築学科を卒業した後、1991年菊竹清訓建築設計事務所に入社。
2000年に鹿田建築設計事務所を設立した。

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畳に座って食事をする家族団らんのスペース。
キッチンのダイニング側にはカウンターを設け、ご夫婦でお酒を楽しめるようになっています。

坂道に囲まれた見晴らしのいい敷地

皿倉山の景色が眼前に広がり、洞海湾と北九州工業地帯が遠くに望む斜面地、それが今回の敷地でした。
斜面地は南下りになっており、日照と見晴らしを同時に得られる理想的な立地です。角地のため三方が道路に囲まれ、北側の道路は2階の床と同じくらいの高さがありました。そのため、1階だけではなく2階も周囲の視線から守る工夫が必要でした。また、坂を上ってくる車のヘッドライトへの対応も求められました。
そこで鹿田さんは、プライバシーを考慮した上で道路との関係を解くことが重要であると考えました。
外観を見るとランダムに窓が配置されているようですが、プライバシーの保護や日照の確保、窓からの景色など、それぞれが明確な役割を担っています。
大小の様々な形の窓が、外観に遊び心をもたらすと同時に機能性も兼ね備えているのです。
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自然や工場地帯の夜景を楽しめるように、2階の子供部屋には大きな窓を作りました。

開放性がありながら、守られた家

ご主人は、籠って家族を守る「縄張り」(close)のような家を求めてらっしゃいました。
そして奥さまは、子育てを意識しながら、効率のいい家事動線と「開放性」(open)を希望されました。
「縄張り」と「開放性」、この2つを両立させることが今回の課題でした。
またヒアリングの際、南西に見える工業地帯の夜景が美しいと聞いた鹿田さんは、実際に夜景を眺めに行かれ、南面の夜景が最も美しく見える位置に窓を作り眺望を楽しめるようにしました。
さらに1階は南西の洞海湾、2階は皿倉山が見られる位置に大きな窓を設けました。
窓の位置と大きさを工夫することで、周囲からの視線をかわしつつ光や景色を取り込むことを可能にし、
「縄張り」と「開放性」の両方を実現しました。
家族がしっかりと守られながら安心して楽しく暮らせるようにという、鹿田さんの思いが込められています。
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帰宅してから玄関土間・トイレ・洗面所・LDKとスムーズに移動できる間取り。
理想的な生活動線を作り出しました。

理想的な生活習慣を導き出す動線

ご家族が生活習慣をストレスなく自然に行えるよう動線にも気を配りました。
帰宅したら玄関土間にある収納で上着を脱いで荷物を置き、トイレに行って洗面所で手を洗う。そしてキッチンカウンターでおやつを食べて一息ついたら宿題をする。自然と生活習慣を行える動線になっています。
南に面した2階の子供部屋にも大きな窓を作り、山々や洞海湾や工場地帯の夜景を楽しめるようにしました。
窓から見える自然や景色を毎日眺めることで、子供たちの感性が育まれます。
計算された空間や動線によって家族の習慣ができ、人(子ども)を育てることに繋がるというのが鹿田さんの信念であり、家族の生活習慣動線を「子ども動線」とも呼んでいらっしゃいます。鹿田先生はこの家で育つ子どもたちはどんな大人になり、どのように社会に関わっていくのか、そんなことを想像しながらいつもプランを考えていらっしゃいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
立地を生かし、開放感がありつつも家族がしっかりと守られて安心して暮らせる、素敵な住宅ですね。
皆さまのお家づくりの参考になれば幸いです。

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