建築家に学ぶ、良いデザインとは

ほどよい距離感で暮らせる2世帯住宅

完全分離型の2世帯住宅のご紹介です。
親世帯と子世帯、お互いが心地よく過ごせるための植本さんの住宅デザインを見ていきましょう。

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建築家植本 俊介

建築家 植本 俊介
植本計画デザイン一級建築士事務所

1963年東京都生まれ。1998年に植本計画デザイン一級建築士事務所を設立した。
植本さんは、家づくりとは建主・建築家・工務店が敷地という舞台で行うコラボレーションであると考えられています。
あくまで建物は敷地に建つものであり、周辺環境から突出するのではなく敷地の潜在的な能力をできる限り活かすことが信念です。周辺環境にも良い影響を与える住宅づくりを心掛けています。

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2つの立方体のズレにより生み出された共有の庭。
左の1階が親世帯、左側の2階と右側の1・2階が子世帯となっています

2つの立方体のズレが生み出す空間

今回は住宅街にある完全分離型の二世帯住宅のお家です。
アプローチは東側ですが、西側にも道路があり、その向かい側には緑豊かな林が広がっています。
外観はグリーンの外壁が周囲に自然となじみ、2つの立方体がずれたような形が印象的です。
右側の大きな立方体の1階が親世帯、それ以外が子世帯の住居となっています。
コストの制約から総2階が求められましたが、大小の立方体2つをずらすことにより、ファサード側に駐車スペース、裏側には庭となる「余白」を生み出しました。
家づくりの基本は「敷地を活かすこと」であるとお考えの植本さんならではの空間づくりですね。

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窓は視線が合わないよう直角に配置。お互いのプライバシーを守ります。

適度につながる2世帯共有の庭

開口部がほとんどないシンプルなファサードを希望されていたため、2つの縦型のスリットに玄関や窓を集約させました。
こうすることで正面から見える窓を減らし、
よりグリーンの外壁を際立たせると同時にご希望通りのシンプルでフラットな外観となりました。
L字型に囲まれた中庭は、両世帯の外部の共有空間となっており、それぞれ庭側に大きな窓を設け緑を楽しめるようになっています。
お互いの空間へスムーズに行き来ができ、交流も生まれます。
完全分離型の住宅ですが、庭を共有部分とすることで
親世帯と子世帯が程よい距離感で心地よく過ごせるように考えられています。

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庭へと視線が抜ける玄関ホールと階段。
階段の上に大きな窓を設け、明るい光が降り注ぎます。

視線の抜けをつくりだす間取り

閉じられたファサードとは異なり、内部は庭への視線の抜けを重視しました。
子世帯の玄関を入ると縦長のホールが広がり、スケルトン階段の奥に庭が見え開放的な雰囲気です。
ホールの右側は親世帯となっているので、階段裏側のスペースは左側のサロンとしか繋がっておらず、引き戸を前回にすればホールもサロンの一部として使うことができます。階段を上がった正面に大きな窓をつくり、庭へと視線が抜けると同時に斜め右方向のLDKへと視界が開ける間取りになっています。
親世帯の側にも大きな窓を設け、庭への視線の抜けを感じられるようになっています。
子世帯の窓とは直角の位置関係にすることで、視線が合わないように工夫されています。
2世帯のプライバシーを確保し、互いの視線を気にせず暮らせるようにという植本さんの配慮です。
外観の雰囲気からは想像がつかない、明るく自然を感じる空間となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
空間を上手く利用することで、親世帯と子世帯、お互いが快適に過ごせる開放感のある住宅ですね。皆さまの家づくりの参考になれば幸いです。

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