建築家に学ぶ、良いデザインとは

住まいと教室がつながった店舗併用住宅

今回は店舗併用住宅のご紹介です。
家族のプライベート空間をしっかり確保しながら、塾の教室と居住スペースがゆるやかにつながる飯塚さんのデザインを見ていきましょう。

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建築家飯塚 一樹

建築家 飯塚 一樹
株式会社イイヅカカズキ建築事務所

1977年新潟県生まれ。2000年から2007年まで新潟県内設計事務所勤務。2007年にイイヅカカズキ建築事務所を設立した。
飯塚さんは人とコミュニケーションをとることで価値観とイメージを共有し、会話や土地の特性から感じるものを大切にしています。
家づくりを通して、お客様の幸せのストーリーを一緒に作り上げていきたいと考えています。

住まいと教室がつながった店舗併用住宅 画像2

キッチンから見た風景。
庭やリビング、子供部屋から教室まで全てが見渡せます。

思いを形にした、温かみのある外観

今回の敷地は閑静な新興住宅地の角地にありました。
子育て世代のご夫婦とお子様2人の4人家族で、そろばん塾のある店舗併用住宅の計画です。
施主のご要望は、「繭塾というそろばんとプログラミングの塾をやりたい」「玄関を広い土間にして塾と住宅兼用にしてもよいが、塾と居住スペースの動線はきっちり分けたい」というものでした。
飯塚さんは住宅デザインをするにあたり、ご夫婦に「繭塾」への考えを伺いしました。
そして将来的にご夫婦で塾を運営していきたいという強い思いと、塾の運営がご家族にとって日常であり、子育ての一部であることがわかりました。
外観は「繭塾」の繭をイメージして、白く温もりのある包み込むようなイメージに仕上げました。
「こどもたちの個性を繭で優しく包み込み、自らの力で将来へ羽ばたく力をつけて欲しい」というご夫婦の思いが形になったような、素敵な外観ですね。

住まいと教室がつながった店舗併用住宅 画像3

土間と吹き抜けを中心に塾と家族のスペースを分けています。
教室とリビングを仕切ったり開放したりできるよう引き戸を設けました。

引き戸がつくりだすフレキシブルな空間

1階は居住スペースと塾の動線とゾーンを分けるために、建物の中央に土間と吹き抜けを配置しました。
土間を共有部分にすることで、ゆるやかに2つの異なるスペースをつなげています。
さらに3枚引き戸を土間と吹き抜けに設けることで、完全に仕切ってプライベートなリビング空間を確保したり、引き戸を開けて空間を広げたりできるよう可変性を持たせました。
土間と吹き抜けは、光や暖気・冷気の通り道となり家中の温度差をなくす煙突として役割を持つのと同時に、「視線の抜け」をつくることで広がりを感じさせてくれます。
こどもたちが楽しく快適に学べるような、明るく開放的な雰囲気になっています。

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2階は子供部屋などのプライベートな場所を集約。
温度差をつくらないように、あえて開放的なつくりにしました。

吹き抜けで家族とのつながりを感じるリビング

2階はクローゼットや子供部屋などのプライベートな空間をまとめました。
塾側からは生徒の視界を遮断することができ、居住スペースのプライバシーを守り安心して生活が送れるように配慮されています。
土間と吹き抜けを介してリビングと子供部屋がつながっているので、会話をしたりコミュニケーションを取ることができます。キッチンからも庭やリビングでくつろぐ家族、2階のこどもたちの様子が伺え、子育て世代のご家族にぴったりの間取りとなっています。
2階は壁をできるだけ減らし、光や風を全体に行き渡らせることで温度差をつくらないようにしました。
あえて空間をつくりこまないことで、家族形態やライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるデザインとなっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
プライバシーを確保しながらも、店舗と居住スペースを上手く共存させた住宅となっていますね。皆様のお家づくりの参考になれば幸いです。

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