勾配天井とは?
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勾配天井(こうばいてんじょう)とは、傾斜がついた天井です。一般的な住宅の天井から床までの高さは、2.2~2.4mが標準ですが、勾配天井にすることでそれ以上の高さが生まれます。
傾斜があることで「傾斜天井」、梁(はり)も見えるため「梁見せ天井」と呼ばれる場合も。
特に、平屋や2階建てのリビングやダイニングなどで採用されることが多く、通常のフラットな天井と比べ、広々とした空間を演出する効果があります。>>参考コラム:天井を高くするメリットとデメリットは?天井高の決め方や施工事例もご紹介
屋根の形状と角度
勾配天井は、屋根の形状に沿って作られます。代表的な屋根の形状と特徴は以下の通りです。
| 屋根の形状 |
特徴 |
| 切り妻(きりづま) |
2枚の屋根が合わさった三角屋根。和洋折衷のテイストに向いている |
| 片流れ |
片方に傾斜がついた屋根。小屋裏収納やロフト、吹き抜けなど空間を有効活用しやすい |
| 寄棟(よせむね) |
棟木(むなぎ)を中心に4面に流れる屋根。 |
| 方形(ほうぎょう) |
中央を頂点にしたピラミッドのような形。正方形に近い平面と相性が良い |
また、屋根勾配の一般的な角度は以下の通りです。
・3寸勾配(約16.7度)
・4寸勾配(約21.8度)
・5寸勾配(約26.6度)
・6寸勾配(約31度)
・10寸勾配(45度)
R+houseネットワークでは、0.5寸勾配(約2.8度)が最も多く採用されています。
屋根の勾配によって、見た目やコストはもちろん、屋根の面積や使用できる屋根材、小屋裏の広さ、さらに太陽光発電量が変わります。勾配天井の家でどのような暮らしを望むのか、建築家とじっくり話し合ってみましょう。
吹き抜けとの違い
勾配天井のメリット
スケッチブックの上の「MERIT」と書かれた積み木-min.jpg 86.66 KB
勾配天井を採用することで、たくさんのメリットがあります。ここからは、それぞれのメリットを解説していきます。
開放感が生まれる
勾配天井の一番のメリットは、室内に開放感が生まれることです。天井の高さが出ると、視界は上へ広がり、同じ床面積でも広く感じる効果があります。「限られたスペースの中に、のびのびとした開放感を出したい」という場合に適しています。高さのある家具を配置しても、圧迫感を感じにくいのは嬉しいポイントです。
部屋が明るくなる
勾配天井にすることで、高い位置に窓が配置できるため、光を取り込みやすく部屋が明るくなります。天気が悪い日や北側など光が入りにくい条件でも、自然光が入りやすくなり明るい空間を演出できます。そのため、隣家との距離が近いことや、北向きリビング、平屋など、日当たりに課題がある場合でも、プライバシーに配慮しながら効果的に自然光を確保できるのは大きなメリットです。
>>参考コラム:南向き間取りとは?日当たりが良い注文住宅の間取りや事例も紹介
通気性が良くなる
勾配天井により、室内に高低差ができ空気の流れが生まれ、通気性が良くなる効果もあります。一般的に暖かい空気は上、冷たい空気は下に移動します。勾配天井の最も高い位置と対面の低い位置に開閉可能な窓を設けると、空気の通り道が生まれ効果的な空気の入れ替えが可能です。
デザイン性が高くなる
床面積が減らず、有効活用しやすい
開放感や明るさを確保するために、吹き抜けも人気です。しかし、吹き抜けにすると、上の階の床面積を取り除くため2階の床面積が減ってしまいます。一方で、勾配天井は床面積を確保したまま開放感や採光の確保が可能です。勾配天井でできたデッドスペースをロフトに活用すると、書斎スペースや子どもの遊び場、普段使用しないものの収納場所など、多様な使い方ができます。空間を無駄なく使えるのはメリットです。
勾配天井のデメリットと対策ポイント
勾配天井には、たくさんのメリットがある一方で、きちんとデメリットも知っておく必要があります。ここからは、勾配天井のデメリットと解消するための対策ポイントを解説します。
冷暖房効率が悪い
「勾配天井は冷暖房の効率が下がるのでは?」と心配になる方がいらっしゃるかもしれません。天井が高くなり空間の体積が増えることで、冷暖房効率が下がる傾向に。また、夏場は直射日光を受けた屋根からの熱の影響を受けやすく、冬場は暖かい空気が天井付近に溜まりやすいため足元が冷えやすくなります。
勾配天井の家の冷暖房効率を良くするには、断熱性や気密性といった高い住宅性能を確保できる住宅会社を選ぶことです。家全体の断熱性が高ければ、外気による影響を受けにくくなり冷暖房効率も高くなります。
さらに、室内の空気を循環させるシーリングファンの導入もおすすめです。室温を一定に保ちやすく、冷暖房効率を高められます。
>>参考コラム:注文住宅を高断熱・高気密にするメリットとは?快適な家づくりを徹底解説!
メンテナンスが難しい
勾配天井にすると、高い位置に窓や照明、シーリングファンを設置することが多くなる結果、メンテナンスが大変になる場合が。シーリングファンなどはホコリが溜まりやすく定期的な掃除が必要です。また、電球交換が必要になった際、脚立やハシゴを使わなければならず、手間や転落の危険が伴います。場合によっては、業者に依頼しなければならず、メンテナンス費用がかかることも。
対策としては、設計段階で掃除やメンテナンスを考慮することです。電動昇降機付きのシーリングファンを導入すると、手が届く位置まで降りてくるため掃除がしやすくなります。また、柄が伸縮するロングワイパーやロングモップなど高所用の清掃用品を活用すると高い位置の窓の掃除に対応できます。照明に関しては、寿命の長いLEDライトを導入しましょう。LEDの寿命は一般的に40,000時間、8~10年程度は交換不要となるため、交換頻度を大幅に軽減できます。
音が響きやすい
構造上、勾配天井は音の響きやすさが気になるもの。屋根がそのまま天井になっているため、一般的な住宅よりリビングでの会話やリモートワークの音が空間全体に響きやすかったり、雨音が身近に感じられたりします。
対策としては、壁や床に吸音効果のある素材を使用することです。また、住宅の断熱性を高めると吸音効果が期待できます。防音カーテンや吸音素材のカーペットを使用するのもいいでしょう。
>>参考コラム:注文住宅に防音は必要?騒音トラブルを防ぐために知っておきたい対策とは
デザインのバランスが難しい
勾配天井を採用すると「勾配天井のデザインとインテリアが合わない」「天井の面積が狭く、圧迫感を感じる」と後悔する方がいます。勾配天井の家で理想を実現するためにも、デザインのポイントを押さえましょう。
天井が高い部分は濃い色を配色し、上から下を照らすペンダントライトなどを設置して、背の高い家具を置きます。反対に、天井が低い部分に関してはそれぞれ反対のものを配置すると、デザインの調和が取れやすく、おしゃれな空間に仕上がります。
勾配天井の家のデザイン性を高めるには
勾配天井の家をもっとおしゃれにするには、どのような点に気を付けるといいのでしょうか。ここからは、勾配天井のデザイン性を高めるポイントを解説します。
照明
おしゃれな勾配天井の家にするために、必要な場所に適切な照明を設置しましょう。ペンダントライトやダウンライト、間接照明、シーリングライトなど照明のタイプによって特徴や空間への印象が異なります。複数の照明を上手く組み合わせ、必要な場所を照らすとコントラストが生まれ、おしゃれな空間を演出。使いわけることで光熱費削減にもつながります。
壁紙
勾配天井と壁紙の色やデザインは、空間の印象を変えるもの。天井と壁紙を同系色にすると、まとまりがある落ち着いた印象を与えます。天井面にアクセントカラーとして、壁と異なる色を使用すると、空間に高さや奥行きが感じられ、おしゃれな空間を演出できるでしょう。また、天井材を選ぶ際は、予算に配慮しながらメンテナンスや交換のしやすさも考慮して選ぶことが大切です。
梁を見せる
梁を見せることで、天井に奥行きが出て空間が広く感じられます。
インテリアのアクセントになるため、色や表面仕上げにこだわるといいでしょう。梁をアクセントにするなら天井や壁紙と色を変える、スッキリした印象にするなら同色にしましょう。仕上げ方次第で、さまざまなデザインを表現できます。
R+houseネットワークの工務店では、建築家とタッグを組み、デザインや性能、コストのバランスを重視ながらお施主様の個性と理想をカタチにします。「勾配天井のある家を建てたい!」という方は、お気軽にR+houseネットワークの工務店へお問い合わせください。
>>参考コラム:建築家と注文住宅を建てる魅力とは? 3つのメリットと建築家住宅の実例
勾配天井の施工事例10選
最後に、R+houseネットワーク工務店が手掛けた勾配天井の施工事例を紹介します。個性が光る勾配天井ばかりなので、家づくりのヒントにお役立てください。
図書館を思わせる本棚と勾配天井のある家
写真④本棚が印象的なLDKで本を眺める男女.jpg 122.26 KB三角屋根をした延床面積108.06㎡(32.68坪)の平屋です。
LDKの本棚が印象的で、屋根の高い場所は4mあり、白と木材が織りなす優しく落ち着いた空間です。天井材と本棚は同じ素材を使用し、空間に統一感を持たせました。4種のライトの使い分けでおしゃれな雰囲気に。大きな掃き出し窓がLDKに奥行きを与えます。
>>施工事例:和歌山県有田郡「守られた箱の中で気ままに暮らす平屋」
和の温かみがあるモダンな平屋
上質感あるホテルライクな家
写真⑥石壁と木の床が洗練された雰囲気のLDK.jpeg 143.51 KB延床面積91.5㎡(27.67坪)の平屋です。
勾配天井でより広がりを感じるLDKは、ダウンライトと間接照明でおしゃれな洗練された雰囲気に。中央の中庭からは、明るい光と風を取り込みます。また、アカシアのフロアとサンゴ風の石材が張られた壁は、個性的でありながらもホテルライクな上質感を演出します。
>>施工事例:岐阜県岐阜市「大きな間のある平屋」
木の温かさが感じられる家
写真⑦木の暖かさと開放的な雰囲気が感じられるリビング.jpg 150.09 KB延床面積117.99㎡(35.69坪)の2階建ての家です。
寄棟屋根の勾配天井と床材、見せ梁、柱など多くの木材を使用することで、どこか懐かしくあり温かみのある印象を与えます。メインの照明にはペンダントライトを使用。2階の小窓から1階を眺められる設計で家族の気配がいつでも感じられる住まいです。
>>施工事例:島根県鹿足郡「柳の家」
愛猫とグリーンを感じられる家
異素材が組み合わさった上品な家
写真⑩間接照明が映える大人雰囲気の上品なLDK.jpg 232.5 KB延床面積170.58㎡(51.6坪)の切妻の瓦屋根が特徴の平屋です。
ゆったりとした広いLDKは、シックな色の板張り勾配天井に木やタイル、セメント、漆喰といろいろな素材を組み合わせ、上質感のある空間に。ダウンライトやスポットライト、ペンダントライト、間接照明の組み合わせも部屋の雰囲気をグッと高めてくれます。
>>施工事例:岐阜県下呂市「四季と暮らす平屋」
豊かな暮らしができる家
ダイナミックな勾配天井がおしゃれな家
写真⑫ダイナミックな勾配天井とモダンな照明.jpg 115.38 KB延床面積99.37㎡(30.05坪)の大きな片流れ屋根の平屋です。
勾配天井に続いて、空を切り取ったような2層分の大きな窓は、まさにピクチャーウィンドウで、LDKに光と風を取り込みます。シーリングファンで空気の循環もばっちり。ワイヤーフレームのペンダントライトもおしゃれです。
>>施工事例:和歌山県有田市「ダイナミックな勾配天井の平屋」
ビンテージ感あふれる住まい
勾配天井を活かした家
勾配天井のある注文住宅を建てるならR+houseネットワークの工務店へ
開放感が生まれ、デザイン性も高まり家が一気におしゃれになる勾配天井。R+houseネットワーク工務店で、お施主様が理想とするテイストの勾配天井がある家を実現してみませんか。
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