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今後の賃金アップを実現していくために必要なこととは?

現在日本経済は、緩やかに物価を上げて景気を回復させていく「デフレからの脱却」を目指しています。スタグフレーション(不景気な状態で物価だけが上がってしまうこと)が起きないようにするには、好ましい景気の元で対策を進めることが必要です。

デフレ脱却を目指す中、実質的な賃金が増えるのは驚くべきこと

理想通りのペースでデフレ脱却が進んでいるかを知る手がかりとなるのが、雇用の状況や賃金の上昇具合です。雇用状況を示す有効求人倍率は1.36倍とバブル期と同レベルになっており、雇用に関しては現在の所、多くの方が職に就ける完全雇用の状態となっています。賃金についても徐々に上がる気配が見えています。今後も順調に賃金が上がっていく見込みはあるのでしょうか?

<16年の実質賃金5年ぶり増プラス0.7%、物価下落が影響>
(2017年2月6日付日本経済新聞)
『厚生労働省が6日発表した2016年の毎月勤労統計調査によると、
物価変動の影響を除いた16年通年の実質賃金は前年から0.7%増えた。
5年ぶりのプラスとなる。
名目賃金にあたる現金給与総額が0.5%増と3年連続で増え、
原油安や円高で物価が下がった要因も寄与した。
ただ12月は原油高などで実質賃金が前年同月より0.4%減っており、先行きは不透明だ。』

ここで挙げられている「名目賃金」とは、実際に個人に支給されている給料のこと。
一方、「実質賃金」は、物価の変化を考慮した賃金のことを指します。
名目賃金の支給額が全く上がらない時(上昇率0%)でも、物価が2%下がった場合は実質賃金が2%増えていると考えます。

こちらの記事で取り上げられているように、ここ3年は名目賃金が増えていましたが、同時に物価も上がっていたことから5年間は実質賃金がプラスになっていなかった状態です。2016年に入ると物価が少し下がったため、実質賃金が増えてきました。

ここ数年間は、日本の雇用の構造が大きく変わりつつあります。
高額の給料を受け取っていた団塊の世代が大量退職の時期を迎えたため、正社員が減り、パートやアルバイトなどの雇用形態で働く非正規雇用の女性が増えています。高い給料をもらって働いていた正社員が減って、少ない給料で働く非正規雇用者が増加している状況なのです。このような中で、名目賃金が3年続けて増えているという点は、驚くべきことと言えるでしょう。日本経済は、思いの外良い状態にあります。

物価は緩やかに上昇する中、賃金はどうなる?

ゼロ金利政策が引き起こす円安

2016年に見られた実質賃金の上昇は、物価が下がったことによって引き起こされたものです。従って、完全にデフレを脱却したとは言えない状況です。物価が上がった状態で名目賃金がアップすれば、実質賃金もしっかりと上がり理想的な状況となります。

アメリカをはじめとする海外諸国では金利が徐々に上がってきていますが、日本は現在でもゼロ金利政策を推し進めています。
こういった状況にあると、円安となる傾向があります。円安になると、物価を上げるような圧力が発生して輸入される品の物価が上がってくるのが一般的です。2016年の後半からは原油の価格も徐々に高くなってきている状態です。

安倍政権の働き方改革が賃金の変化に与える影響

このように少しずつ物価が上昇する状況の中、2017年からの名目賃金がどう変化するかが気になる問題です。今後も現在のように雇用が好調であれば、非正規社員を正社員にするといったケースも増えてくると見込まれます。大企業だけでなく中小企業でも賃上げが起こるということも考えられます。安倍政権が打ち出している働き方改革では、正社員と非正規雇用者の賃金の格差を減らすことも1つのテーマです。こういった改革が進められていることは、賃金を上げていくのにも良い条件となるでしょう。

しかしながら、安倍政権の働き方改革は賃金を妨げてしまう可能性もはらんでいます。私たちは一時的な賃金の変化に捕らわれすぎずに、働き方そのものを見直すことが求められていると考えられます。

残業を規制することが賃金を下げてしまう要因に?

安倍政権の働き方改革で打ち出されているのが、長時間にわたる労働の見直しです。この改革では残業時間に上限を設けるなど、企業側が残業を減らすことを1つの目標にしています。正式な法律の施行はまだ行われていませんが、社会的には働き方改革の影響が徐々に現れ始めています。こういった長時間労働を規制する改革の影響で、増えると予想されるのが残業代の減少です。残業代が減ると、残業を頻繁にしていた社員の賃金が下がります。一部の企業では、すでに残業を減らすような取り組みを始めています。2016年の名目賃金は0.5%ほど上がっていますが、ここで上昇がみられるのは基本給やボーナスです。残業代に関しては0.6%ほど減っています。

こういった状況を見ると、今後は残業代で賃金を増やしていくことはかなり難しくなるでしょう。残業や休日出勤の報酬には、一定の割増分がプラスされます。従って、残業が出来なくなることで、これまでよりも大幅に賃金が減るといった方も今後は出てくると考えられます。「残業代を見込んで住宅ローンを組んだ」という方も実のところ多いです。残業代を当てに出来ない今後は、住宅ローンの借入計画を今一度見直して無理のない返済のペースをとっていくことが大切です。自分の能力や仕事における成果を考えながら、計画的にマイホームの購入計画やライフプランを設計していきましょう。

賃金を上げるためには、能力と生産性を高めることが必要

残業をせずに勤務時間内に十分な成果を上げるためには、経営者や社員が意識を変えることが必要です。

例えば社員の場合は、効率良く仕事をして限られた時間で求められている成果を出すことが求められます。残業に頼らずに成果を出すためには、能力を高めることが不可欠です。勤務時間内に求められている課題をこなせない場合、今までのように残業は出来ません。こういった時には残業をせずに自宅に持ち帰り、引き続き仕事をすることになるでしょう。この場合は、残業代はつきません。従って賃金を上げるためには、能力を上げて会社に自分を認めてもらい、基本給自体を上げてもらう必要が出てきます。

経営者側は、こういった社員の成果に報いることが求められるでしょう。成果や能力を上げた社員に対しては、基本給を上げるといった姿勢を示す必要があります。成果を出した場合は基本給をアップするという確約をすることが、1つ求められてきます。サービス残業を求める会社は徐々に社員から見放される可能性が高いのが、これからの時代です。求めている成果と労働に費やす時間について、経営者が社員と話し合いながら仕事を進めていくのが今後のスタイルとなるでしょう。その仕事に必要となる社員の数や所要時間を把握して、適切な分業方法を考えることも大切になります。また、仕事の成果や生産性を上げるようなサポートも必要です。労働環境を良くするルールやシステムづくりも、経営者に求められてくる工夫です。

働き方改革がスタートされた現在、幸せになるために大切なのは働き方自体を変えることです。残業を減らすだけでなく、働き方を変えるための方法を考えていくのが今後の課題となります。日本の労働力の基盤になる15歳から65歳の生産年齢人口が急速に減っているのが今の日本です。労働力が限られている中で経済を成長させ、さらに賃金もアップさせていくためには、社員にも経営者にも色々な課題があります。社員は成果を意識して能力を上げる努力をし、経営者は社員が能力を発揮出来るような労働環境づくりに励むことが必要となってきます。

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※当コンテンツに記載されている内容については、現在は終了している制度や古いニュースも含まれております。あくまでご参考いただくものでございますので、実際に住宅購入・ライフプランを検討される場合は、現在の情報をご自身で確認の上ご判断ください。