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企業業績、「増収減益」がいいか?「減収増益」がいいか?さて、どっち?

日本経済はかなり好調であると伝えられています。では、日本の上場企業も好調であるということでしょうか。
このようなニュースの記事があります。

日本経済における今期の上場企業業績は、「減収増益」です。

<上場企業、2年ぶり最高益17年3月期円高でも採算改善>
(2017年2月11日付日本経済新聞)
『上場企業の2017年3月期業績が2期ぶりに最高益を更新しそうだ。
前期よりも円高水準にあり、全体で7期ぶりの減収になるものの、付加価値の高い製品やサービスで採算が大きく改善する。
世界的な景況感の改善も後押しし、半導体や化学、通信といった幅広い業種で増益となる。』

これは3月決算の上場企業1431社の数字を集計した結果になります。時価総額の96%に相当するということなので、日本企業の現状を表していると言えるのではないでしょうか。

今3月期の決算における純利益は、前期比11%増で過去最高益になるようです。
前期に比べて円高になることから、国際銘柄の自動車関連部品や、電気機器、工作機械などは減益になる見通しですが、化学、通信、商社など多くの業種では増益が見込まれるようです。

全体的には「過去最高益」ということなので、その結果儲かっている企業が多いように思えます。しかし、売上が3%減少しているという点が気にかかるところです。
つまりこれは、売上は落ちたけれど利益は増えたという、「減収増益」になるからなのです。
これは良いことなのでしょうか、悪いことなのでしょうか。
「減収増益」とは一体どういうことなのか、これから説明していきましょう。

企業業績における4つの局面とは何か。

企業業績は、前期に比べて売上と利益が増減することで、以下の4つの状態になることがあります。

(1)「増収増益」売上が増加して、利益も増加した
(2)「増収減益」売上は増加したものの、利益は減少した
(3)「減収増益」売上は減少したものの、利益は増加した
(4)「減収減益」売上が減少して、利益も減少した

このうち(1)の「増収増益」と(4)の「増収減益」はわかりやすいと思います。
(1)は売上も増えたので利益も増えたという、会社の状態がとても良いです。
(4)は売上が減少して利益も減ったので、会社の状態はあまり良くないです。

そこで、(2)の「増収減益」と(3)の「減収増益」が問題になります。
これは、会社の状態が良いのか良くないのか、評価が難しいところではないでしょうか。

企業の収益状況を表す「損益計算書」というのは、簡単に言うと「売上収入」から「費用支出」を引いて記されたものです。
「増収減益」というのは、売上は増えたのに、利益は減少したという状態です。
例を挙げると、「売上は上がったのに、製品加工するための原材料の仕入価格が上がった」とか、「販売に力を入れたため、宣伝広告費や販売奨励金などが増加した」などということです。

その一方、「減収増益」というのは、売上は減少したが、利益は増加したという状態です。
つまり、「販売不振で売上収入は減ったのだが、原材料の仕入価格が下がった」とか、「部門縮小のために人件費総額が削減され、その結果として利益が増加した」というようなことです。

そして、今期の日本企業の多くは、この「減収増益」になる見通しなのですが、さて、これはどのように評価したら良いのでしょうか。

「増収減益」と「減収増益」では、どちらが良いのか。

「増収減益」と「減収増益」について考えてみましょう。
これは、どちらが良いとか悪いというものではなく、企業活動の局面に過ぎないのです。
その上、今回の発表は東証上場企業全体の集計によるものです。
「減収増益」と言っても様々な原因によるものなので、一様に良いとも悪いとも言うことはできません。

一般的に言われることですが、上記のように事業展開の局面ごとに損益状態というのは変わります。
新しい事業機会をとらえて、新商品へ投資したり、販売促進のための宣伝広告をすれば、費用先行になってしまいます。
そのため、売上は上がるかもしれませんが、費用がかさんでしまいます。
このような場合は「増収減益」になるのです。
新商品が市場に行き渡り、投資がそれほど必要ではなくなると、「増収増益」になり、その後市場が成熟して売上と利益が落ちてくると、「減収減益」になります。
落ちた売上に合わせ、不採算部門などを整理・統合したりして経費を削減すると、「減収増益」になります。

「成長期」には投資をするので「増収減益」になり、「成熟期」には投資が必要ではなくなるので「増収増益」、「衰退期」になっていくと「減収減益」、リストラなどで事業を再構築すると「減収増益」、という流れになるのが一般的かと思います。

そのようなことから、日本の上場企業の17年3月期の「減収増益」決算は、この数年間に日本企業が進めてきた事業再編や合理化の成果が出た局面であると言えるでしょう。

前出の記事にはこのような例が載っています。

『日立製作所は物流や金融といった本業と関係の薄い事業を切り離すことにより、収益力の向上をはかってきた。
その結果、今期は売上高が10%減りそうだが、経営の効率化が寄与し純利益は16%増えると見込んでいる。』
『日立は非中核と位置づけた黒字の子会社、日立工機の売却も決め、インフラ事業などに集中する方針を改めて示した。』
『不採算品を減らしてきた三井化学は今期、1割の減収だが10期ぶりの最高益となる見通しだ。
機能性肌着の販売に力を入れたグンゼは2%の微減収にもかかわらず、最終損益が黒字に転換するという。』
(以上、日本経済新聞)

これからどうなるのかまだまだ予測することができないような世界経済です。
そのような中で、むやみに売上ばかりを追うのではなく、無駄のない筋肉質の企業体質を作っていくことが、正に賢明な経営判断であると言えるのではないでしょうか。

「減収増益」は次のステップへ向かう力を蓄えている状態である。

では、「減収増益」と「増収減益」について考えていきましょう。
どちらかと言うと「増収減益」の方が、会社が成長のために新たなチャレンジをしているような印象があるため、良いイメージがありますね。
その一方、「減収増益」は、「リストラ」とか「経費削減」という企業を縮小するような印象を受け、あまり良いイメージではありません。
それは、今期の利益は確保できたにもかかわらず、売上規模が小さくなってしまっているからなのです。

しかし、どんな市場でも永遠に拡大が続くわけではありません。
間違いなく成長期があれば成熟期があり、いずれは衰退していくのです。
そういう機をしっかり見てかじ取りを変えていくことは、経営において絶対に必要なことだと思います。

成熟した市場を多数かかえている日本企業は今、次により効率よい利益を上げるために、体制を整える局面にきているのではないかと思われます。
できるだけ無駄を省いて、強みを持つ事業分野に経営資源を集中させる。

こうすることで、次へのチャレンジに向かうための強い企業体質を築いているところなのかもしれません。

「成長市場には資本を投下して、成熟市場では節約して利益を回収する」というのが、経営のセオリーです。

利益は次の投資の源泉であるので、そうとらえると今期過去最高益を出すという日本企業が、次にどんな展開をするかということに期待が膨らんでいくことでしょう。

「減収増益」は次のステップに向かうための力を蓄えている状態であると考えられます。

これを評価し、日本企業の今後の成長を大いに期待していきたいところです。

企業だけにかかわらず、住宅購入を検討されている皆様も、ここぞという機を見て人生のかじ取りを変えていくというチャレンジを、ライフプランに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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