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持続的な経済成長のために必要なこととは?

先日、新聞で失業率のことが取り上げられていました。
記事によると失業率は2.8%となり、1994年以来の低水準を記録したとのことです。この水準は「完全雇用の状態」とも呼ばれています。働く意欲を持っている人がすべて雇われる状態であり、この数値よりも低い数値になることは難しいとされているからです。

失業率が3%以下に!

<失業率22年ぶり低水準2月2.8%>
(2017年3月31日付日本経済新聞)
『雇用が一段と改善している。
総務省が31日発表した2月の完全失業率は2.8%と前月に比べ0.2ポイント低下した。
1994年6月の2.8%以来22年8カ月ぶりの低水準。
同日発表の有効求人倍率は1.43倍と前月と同じだが、四半世紀ぶりの高さだ。
運輸、製造業など幅広い業種で人手不足が続いている。』

記事によると、2017年2月の失業者は188万人で、2016年の2月と比較すると25万人減っています。その一方で就業者は6,427万人となっており、同じく2016年の2月より51万人増加しているのです。
そもそも15~64歳の男性就業者が8万人減少しているにもかかわらずこのような数字が出ている理由には、女性が33万人増、65歳以上の男性が26万人増と、女性や高齢者で働く人の数が大きく増えたことが背景にあると言えます。

経済成長は失業をなくすために必要!

現在の失業率に至るまでの道のりとは

失業率はリーマンショックが起こった翌年である2009年に5.1%という最も高い数値を記録しました。当時社会問題となったことを覚えている人も多いかもしれません。
それが毎年少しずつ下がっていき、2014年には4%以下になります。その後も少しずつ下がり続け、2017年になってついに3%以下になったのです。
野党や政府に批判的なマスコミの影響で、本当は増えたといっても非正規社員ばかりだし、賃金だって上がっていないんじゃないか、といぶかしむ人もいるかもしれません。しかし、記事によれば非正規社員の数も15カ月ぶりに減少に転じ、10万人減少しているとのことです。また賃金も上がってきているようです。

実際、たとえ景気が回復してきたとしても企業は慎重に行動します。いきなり社員を雇うようなことはできませんから、まず残業を増やし、その次に非正規社員を増やします。それでも人手が足りないということになって初めて正社員を増やしたり、賃金を上げたりするようになるのです。一朝一夕にできることではありません。
日本企業の多くはこれまで様々な業績回復のための試みを行ってきました。その結果、ようやくここまで失業率が減少したのです。

失業問題の解消に必要な2つの方法

では、そもそもの問題として、どうして国は経済成長を目指さなければならないのか、疑問に思っている人も多いかもしれません。その大きな理由の一つが失業問題の解消なのです。
働いていないために所得のない国民が多く存在することは、国として重要な問題です。なぜならそのような人が増えた分だけ税収が減ってしまう一方、福祉などの支出の方は増加してしまうからです。
経済学的な観点で言うと、失業は仕事=需要の方が働き手=供給よりも少ない場合に発生します。
ならば需要と供給のバランスを調整すれば、失業問題は解決することができるでしょう。
そのためには二つの方法が考えられます。

まず一つ目は、働き手の賃金を下げることによって需給バランスを整える方法です。しかしこの方法はあまり得策とは言えません。なぜなら価格を下げることによってバランスをとることには限界があるためです。お金とモノとの需給バランスとは異なり、供給側である働き手は人間です。もしも賃金を下げようとすれば労働組合の抵抗に遭いますし、労働者の生活を守るために保証するべき最低賃金も定められています。このように労働者の賃金は下げにくいということを経済学用語では「賃金の下方硬直性」と言います。下方硬直性がある以上、雇用する企業側は従業員を雇うことに関して常にリスクを背負っているのです。

もう一つの方法が、少ない仕事=需要の方を増やすことです。賃金を下げることによって需給バランスを調整できないならば、需要である仕事を増やすしかバランスを調整する方法がありません。そして需要を増やすためには景気を回復させ、国内で産み出された付加価値の総額であるGDPを増やすしかないのです。
失業率が下がっているということは需要=仕事が増加しているということです。だから現在の経済状態は大きな成果の兆しだと言えるのです。

日本経済の二つの重要課題

では、現在が手離しで喜べる状態なのかと言うと、そうではありません。今はまだ元通りになってしまう危険性をはらんでいます。
そのように考えられる理由の一つが人手不足です。

人手不足による供給の限界

失業率が3%以下という完全雇用の状態は、労働者から見ると喜ばしいことです。しかし企業の側から見るとそうではありません。なぜなら需要に対して供給が足りていないわけですから、慢性的に人手が足りない状態でもあるわけです。そして人手が足りないことは供給の限界として経済成長にとって大きな足かせとなってしまうでしょう。

現在はそうして労働者の数がどんどん減っている中でも経済状況が好転しています。働き盛りである15~64歳の人口は2017年2月の時点で7,620万人となっており、この20年間で約1,000万人も減っています。そしてこれから先も減り続けていくでしょう。いずれそのことは需要と供給が逼迫する要因となることが予想されます。この先も人口が減り続けることは分かっているのですから、働き手一人あたりの生産性を上げていかないと、現在の経済成長はいずれ頭打ちとなってしまうのです。

少子高齢化が起こす消費の増加抑制

もう一つの心配要因は消費が増えていないということです。GDPの60%は国民がどれくらい消費するかということによって決まります。なぜなら企業は消費が拡大することを想定して生産やサービスを増加させるからです。ということは、まずモノが売れない限りは企業も生産やサービスを増加させることができず、結果としてGDPも上がらないということになります。
しかし現在の日本は少子高齢化が急速に進行していることが消費の増加を妨げています。家計資産の70%が世帯主が50歳以上のシニア世帯に偏っているためです。このシニア世帯は30代や40代の世帯と比較すると、消費しようという意欲が低く、老後の福祉や年金に対しての不安もあるためなかなかお金を使おうとしません。
そうすると消費が増えませんし、消費が増えなければモノの値段も上がりません。つまり、いつまたデフレの状態に戻ってしまってもおかしくない危うい状態だということです。

人手不足と消費の拡大という二つの課題を解決できれば、経済はさらに好循環で動き始めるでしょう。しかしそこまでの道程はまだ遠いと言わざるを得ません。

将来に期待できるかどうかが重要なポイント!

日本が目指すのは緩やかなインフレ

日本経済が陥ってはならないこと、それは再びデフレへの状態へと逆戻りしてしまうことです。
デフレとは不況によってモノの値段が下がることであり、これから先も下がり続けるだろうと誰もが思っているような状態です。
お金を使うよりも貯金した方が得だ、と誰もが考えますし、企業側も投資をしたところで売上を回収できない可能性が高いですから、わざわざお金を借りてまで事業を拡大しようと思わなくなります。そうすると企業の業績は落ち込みますから、そこで働いている労働者の賃金も下がります。そのように雇用が悪化することで、ますます消費が落ち込んでしまいます。そうするとリストラせざるを得ない企業も出て失業者が増加し、不況が本格化します。それがデフレスパイラルであり、これまで日本で起こっていた状態です。

日本政府は物価上昇率が2%程度の緩やかなインフレを目指しています。緩やかなインフレの状態になると、多くの人は明日は今日よりも物価が高くなっているだろうと考えます。インフレでは貯金しているとお金の相対的価値が下がっていきますから、消費したり、人に貸したりしようと考えるようになるでしょう。そうなると消費が増えますし、ちゃんと売上が見込めるのならば多くの企業は借入して投資をします。そうすると企業業績が良くなりますし、その企業で働いている労働者の賃金も上がります。そのように雇用情勢が良くなると失業者が減少しますし、その結果さらに消費が増えることになります。

このように未来への期待を抱かせることで意図的に総需要を増やそうというのが、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンの提唱した「調整インフレ」です。日本ではインフレターゲット論と呼ばれることもあります。日銀はこのインフレターゲットをここ数年行い続けており、2%のインフレ実現とそれが実現するまで金融緩和を続けることを宣言しています。

インフレに期待をしよう

とは言え、現状ではまだ国民の多くがインフレに疑念を抱いている、というのが事実でしょう。でも、もしかしたら今がその変わり目なのかもしれません。失業率の低下は需要の方が供給よりも多くなっていることを表しているからです。

例えば配送業者のヤマト運輸はドライバー不足を解消するためにサービスの見直しや配送料を値上げすることを検討しています。また都市圏におけるパートやアルバイトの平均時給は1,000円以上が当たり前になってきています。そうして企業の業績が良くなれば、従業員の賃金はさらに上がるでしょう。その状態がこれから先も続くかもしれないと期待できれば、物価は持続的に上がり続けるようになります。まるで「消費増税の駆け込み需要」の緩い状態が常時起きているようなものです。

失業率の低下はここにきてやっとデフレ懸念が後退したこととインフレに対する期待が現実味を帯びるところまできたことを表しているのかもしれません。

何よりも大切なことは、国民が「日本の未来は明るい」と思うかどうかです。明るいライフプランを描くためにも、日本の未来に期待をかけたいものですね。

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