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これからの住宅購入の市場はどうなるのか?

近頃、住宅ローン申し込みが著しく減少しました。これからの住宅購入の市場はどうなるのでしょうか。そのことを「金利」について踏まえつつ述べていきます。

ローン申込が短期間で大量に減ってしまった

昨年までは住宅購入のブームが窺えました。そのきっかけのひとつは「金利の低さ」でしょう。住宅ローン金利が低下しているために建物の価格はより高くなっているが、支払いは総合的に少なくなっています。これを言い換えれば、より少ない支払いでより質の高い家を買うことが出来る、ということになります。実際、国土交通省が発表した建築着工統計調査では、2016年における新設住宅着工戸数は前年より6.4%増加し、賃貸住宅、持ち家は3.1%増えており順調な上昇を見せていました。このように住宅着工が増えている一方、『NHKNEWSWEB』によれば、東京の新築マンションの平均価格は26年ぶりの高水準に達したというほどの高騰ぶりを見せているそうです。ですが、建物の価格上昇とは裏腹に、支払総額は減っていく動向にあります。その直接の理由は住宅ローンの低金利の影響であり、特にその中でも長期固定金利住宅ローン「フラット35」の金利は過去最低金利を更新し続け2016年に1%を切ったほどです。

だがしかし、このようなブームも終焉に向かっているのかもしれません。
日経新聞にはこのようなことが書いてあります。

<住宅ローンしぼむ市場12月申し込み、4.3万件に減少>
(2017年1月19日付日本経済新聞)
『住宅ローン取引の減速が鮮明になってきた。主要8行への申込件数は2016年12月に約4.3万件と、日銀がマイナス金利政策を導入する前の水準まで低下。米大統領選後の金利上昇を受けて大手行は17年1月から10年固定型の最優遇金利を引き上げており、さらに勢いが鈍る可能性がある。景気への影響も懸念される。』

住宅ローンへ申込む人の数の減少が2016年12月時点で顕在化したようです。
この調査対象は全体の住宅ローンではなく大手の銀行などの取引をデータ化したものですが、証拠としては十分確信できるものです。
この原因は「高金利」がはじまってきたからだと考えられます。
各銀行は11月、続いて12月とわずかですが住宅ローン金利の引き上げをしました。住宅ローン市場がしぼんだというのは、2016年9月の日銀の金融緩和から引き締めの方針へ転じた結果でありそうです。
また、記事によるとこれらのことが書いてあります。

『2015年(H27年)に月平均4万件程度で推移していた住宅ローンの申込件数は、日銀がマイナス金利政策を導入した直後の2016年(H28年)3月には8万件に倍増した』
『16年4~6月、7~9月の国内総生産(GDP)は住宅投資が大きな下支え役を果たしたが、住宅市況の変調がいよいよはっきりしてくれば投資を控える動きも懸念される。景気への影響が懸念される。』

2016年には8万件まで上がってきた申込件数が2016年12月の調査では4万件程度へ半減してしまったのです。
今後はどのような動向を見せるのでしょうか。

ローン申込みと新設住宅の関連性は?

住宅ローンの申込みは減少しましたが、このことが急速な景気に対する効果をもたらすとは思えません。

この理由としては、一方で新設着工戸数は減少してはいないということです。国土交通省のデータによれば、持ち家と分譲住宅の棟数は総合で月4.5万戸程度で動き続けています。
2016年の12月における住宅ローン申込みが4.3万件、新設着工が4.5万戸、差はそれほど大きくないですね。しかし住宅ローン申込がもっとも加熱した8万件ではどうでしょう。

新設着工戸数と住宅ローンはそう単純にお互いに影響を与えるものではなく、これらの差は「高金利から低金利へローンを組みなおした人が多い」から見られたものだと考えられるべきです。つまり、8万件まで加熱したというのは、建物を新築したりするときの事前審査などのローン申込みではなく、もともとあったローンを低金利が起こったため、異なる金融機関に乗り換える目的で申込みした、という因果関係です。

つまり、ローン申込件数が減少へ向かったのは、ローンを別の金融機関へ乗り換え終えた、またはそれをするメリットがなくなったということです。低金利を謳っていたところが高金利になったらわざわざそこへローンを組みなおしても仕方がないですよね。

この低金利への「乗り換え」が行われること自体は、新たに住宅ができることと何ら関係なく、家計が潤い、銀行の収益が多少減るということを結果として起こすだけです。しぼんだ市場は「住宅市場」でなく、「住宅ローン市場」であるということです。
これはあくまでデータから読み取れる因果関係で、なおかつ、現時点での話ですが。

これからの増税で市場は動きを見せるのか

現時点では住宅購入の市場はいまだに調子が良い状態にあります。

ところで、2014年4月には消費税が8%に増えましたね。この数年間の住宅の新設着工戸数の推移は、この消費税増税の時期に駆け込み需要とそれによる影響が見られました。

2013年上半期において月4.0万から4.5万戸の間で動いていた持ち家と分譲住宅の着工戸数は、半年後増税の2013年9月時点で5.5万戸に伸びました。しかし2014年に突入すると、月を経るごとに戸数はマイナスの方向に動いていきます。2013年上半期よりも低い3万戸まで減少することもありました。

それが回復したといえるのは2015年5月になってからです。着工戸数は4.2万戸であり前年の4月と比べてプラスです。そして6月には5.2万戸となり以前の、住宅市場はほぼ増税前の状態へ移行しました。その後は月4.5から4.6万戸ほどであまり変わっていません。

予想されていたことですが、着工戸数は今の現実の戸数より減少していただろうといわれていました。理由としては、一時取得者とよばれる層(はじめて住宅を購入する世帯であり、その世帯主は30代に多い)の総数が減ってしまっているからです。住宅を購入する世代である人々の数が減少しているのに着工戸数は減っていない。このことは需要が時期早々に膨れ上がった、つまり駆け込み需要が発生しているのをほのめかしていることではないでしょうか。そしてその原因はまさに低金利なのではないかと考えます。仮に金利の上がり方がはっきりすれば、近い将来さらに着工に向けられる駆け込み需要が増加していくかもしれません。ですが、その反動としてどのようなことが見られるでしょうか。恐らく新設着工戸数の減少は大きいものでしょう。

消費税が8%というときに大きな駆け込み需要があったということをお話ししましたが、もし2019年10月の10%への増税が起こる前にはまたそのような動きがあるかどうかは問題です。それが実現されるとしたならば続いて発生するマイナス効果も予想することができます。ですが、現在においてもう駆け込み需要が形を成していて、それは「高金利になるから」という理由のもののみで勢いが終わってしまうとすると2019年増税前には駆け込み需要は見られず、単に増税が施行された結果として続く、マイナス効果がその先にあるだけかもしれません。

そのような予想でしたが、住宅購入の市場の縮小が将来的にやはり必然的にやってくるとおもいます。今は当たり前のように住宅会社が溢れ展示場なども賑わっていますが、その頃には住宅会社の数もぐっと減ってくるのかもしれませんね。

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