建築家と建てる家を、身近に、手軽に

ニュースとみる住宅購入のススメ

消費が落ち込んでる?消費構造の変化に対応しよう

個人消費はGDP(国内総生産)の6割を占めているため、政府は新しい経済政策を打ち出すなどをし、消費の活性化につなげようとしています。

伸び悩む消費

経済成長を目標としている安倍政権では、企業に賃上げを要求するなどの動きも見られています。しかしGDPは増加傾向にあっても、消費の伸びにはなかなかつながらないようです。

そのことが分かる記事を紹介しましょう。

<GDP3期連続増なお弱い消費と設備投資>
(2016年11月14日付日本経済新聞)
『内閣府が14日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は3期連続のプラス成長となったものの、内需の柱である個人消費と設備投資は力強さを欠いた。所得や雇用の改善が消費に結びついていない。』

しかし、消費を伸ばさないといけない理由はどこにあるのでしょうか。
物が売れることは、消費が増えることでもあり、消費が増えることで企業の利益もあがります。そうすることで企業で働く労働者の賃金が上昇し、さらなる個人消費につながるのです。そしてさらに企業の利益が増え、賃金もさらに上がります。このようにお金が途切れることなく循環し続けることが経済にとって非常に重要です。

消費者の買い控えが目立ち、家計の節約志向が強まる中、政府は企業に賃金の上昇を求めています。それに伴い28兆円もの事業規模をかけた経済対策も実施される見通しです。

しかし実際には、日本の消費はどのような状態にあるのでしょうか。

日本の消費の現状は?

日本の消費を考える前に、まず賃金について考えてみましょう。雇用者報酬は前年同期比3.0%増となり、増加傾向が見られています。これは1996年以来の高い伸びであるとも言えます。実質賃金においても2014年の4-6月期以降は増加し続けている状態にあり、2014年に消費税が増税される前水準も上回っているのです。失業率も3%前半までおさえることができ、ほぼ完全雇用の状態を達成しています。そのため、雇用環境に不安がないと言えるほどにまで改善されていると言えます。

こうして、労働者の所得が増えているにもかかわらず、消費が伸びていないのが現状です。将来への不安を抱える人も多く、消費につながらないと考える人も多いように見られます。

ところが、実際の消費額には増加は見られないものの、それほど大きく減少しているとも言えないのです。

総務省が発表した家計調査では、1世帯の1カ月の平均消費支出額の推移は以下のようになっています。(二人以上世帯のデータを基に年間平均を計算)

2015年28.7万円

2014年29.1万円

2013年29.0万円

2012年28.6万円

2011年28.2万円

2010年29.0万円

2009年29.1万円

ここ数年変わらずに月に29万円程度の消費があることがわかります。月別の詳細で見ると、2008年9月のリーマン・ショックや2011年3月の東日本大震災では落ち込みが見られましたが、消費は安定していると言えるでしょう。

最近のピークでいうと、前月の2014年3月の34.5万円でした。これは2014年4月に消費税率が引き上げられたことと関係しているとみられています。税率の引き上げの前の駆け込み消費であったのでしょう。それ以降では、月に28万円前後消費していますので、お金を使う子育て世代や、若者世帯の減少に対し、消費の少ない高齢者世帯が増加していることも踏まえても、順調に消費されているようにも見受けられます。

日本の消費構造は変化している

消費する場所の変化

それなりに消費があるにもかかわらず、消費が伸びていないと感じている人や、景気が回復していないと言われることが多い背景には、テレビや新聞などで百貨店の売上が減少していることや、自動車や家電が売れないといった報道がされているからかもしれません。
日本の消費の構造は大きな変化を見せています。その1つとして「消費する場所」も変化しているのです。

2016年11月7日付の日本経済新聞の記事である<消費、なぜ伸びないの? 構造変化、通信や食事を重視>には、経産省の業態別売り上げデータとともにこう描かれています。

『業態別にみると、百貨店の売上高が落ち込む一方で、大きく伸びたのがコンビニエンスストア。
最近10年間では、ネット通販などEコマースが急激に成長。
スーパーの売上高は高い水準を維持していますが、これは食品スーパーが比較的好調なためで、衣料品なども扱う大型の総合スーパーは苦戦しています。』

これまで、消費の場のメインとして考えられていたのは百貨店や総合スーパーでしたが、コンビニやネット販売が力をつけ、現在では消費のメインとなっています。テレビや新聞では、百貨店が閉店へ追い込まれているといったニュースも多くみられますが、これと消費の落ち込みとは関係がないと言えるでしょう。百貨店などの業態が時代のスタイルに合わなくなっていることが原因であると考えられています。
中古品をリサイクルとして消費することや、ポイントを貯めることで消費につなげる場合もありますが、これらはGDPには反映されてはいません。

消費するモノの変化

また、「消費するモノ」にも変化が見られています。

『保健医療や交通・通信への支出が80年代と比べて大きく伸びている一方で、被服・履物や家具・家事用品は大幅に減少。』(同記事)

この記事に加え、総務省のデータからも家電製品や自動車といった「耐久消費財」の消費も2014年以降は大きな減少を見せています。

この原因となるのは、「家電のエコポイント」や「エコカー減税」といった景気対策を促進するための買い替え促進策です。2009年のリーマン・ショックの後から推進されたこの政策で、需要が先食いされてしまったと考えられます、さらには2012年地デジへの移行に伴うテレビの買い換えもあり、家電製品の需要が得られない状態が続いているのです。家電製品や自動車は、そう簡単に壊れるものではないため、次の買い替えサイクルが訪れるまでは耐久消費財の消費は増えないことが予想されています。

その反面、通信費や光熱費、交通費、ホテル代、レジャーや飲食といった「サービスへの消費」は増加傾向にあります。これまでも「モノ」に対して消費していたのが「コト」に対する消費へと変化していると言われてきましたが、耐久消費財の落ち込みに対してサービス業が伸びていると言っても過言ではないでしょう。

それぞれが消費構造の変化に対応するべき

日本経済が持続的に成長していくには、個人消費が安定して増えていくことが肝心です。そのため消費を刺激する経済対策も必要であると言えるでしょう。だからといってこれまでに始められたエコポイントのような耐久消費財の購入を促進するような対策では、その効果が限られてしまうと予想されます。サービス業の分野が目覚ましく発展していることに着目し、サービス業の生産性の向上や規制緩和、構造転換対策を行うことが重要であると言えるでしょう。

残念ながら日本のサービス業の生産性は、他の先進諸国と比べても低い現状にあります。生産性が低いことで売り上げが伸びても利益につながらないという問題を抱えているのです。そのため賃金の増加にも結び付かないといった状況が生み出されています。

それでも、日本の消費は私たちが考えているほど悪いものではありません。国民の消費もマスコミが騒ぐほど縮んでいるわけでもないのです。経済の成長は鈍化してはいますが、日本のGDPは世界で第3位であり、経済規模はこれまでと変わらずに大きいのであると知っておく必要があります。雇用環境が安定している日本では、将来を悲観する心配もないでしょう。

しかし、消費の構造自体は確実に変化を遂げています。その変化にどのように合わせられるのかといった点が問題となるでしょう。

国は新たな消費の構造に合わせた経済政策を掲げる必要があり、私たちは働き方を変えるのがいいのかもしれません。

過去の記事をもっと読む

※当コンテンツに記載されている内容については、現在は終了している制度や古いニュースも含まれております。あくまでご参考いただくものでございますので、実際に住宅購入・ライフプランを検討される場合は、現在の情報をご自身で確認の上ご判断ください。