建築家のアイデア

CASE 03

アウトリビングのある家

建築家:平野太郎

Mさま / 家族構成:4人家族 ご夫婦+お子様2人

神奈川県川崎市
敷地面積:165.00㎡(49.9坪)
延べ床面積:107.64㎡(32.6坪)

建築家に伝えたこと

以前マンションを購入したものの、メンテナンス・改修など、住まいに自分の手を加えたくなったという理由から戸建へと買い替えを検討し始めたMさん。ハウスメーカーも検討したそうですが、「建築家の先生へ依頼をするのは敷居が高かったが、住む人の目線にあわせて設計してもらえることがわかり、家づくりをより楽しめるのではないか」と思いR+houseへの依頼を決めたそう。
シンプルに暮らせる家を希望していたMさんの要望は、まず白くて四角い家。そして、奥様は料理好きでキッチンに立つ時間が長いのでキッチンが家の中心にあること、旦那様はアウトドア好きで週末には友人を招く機会も多いので、外に第二のリビングを設けることを建築家へ依頼しました。さて、Mさん一家のライフスタイルにあった家を、建築家・平野さんはどのように設計したのでしょうか。

ご家族の条件!

  • 1とにかく白くて四角い家!
  • 2キッチンを家の中心に
  • 3外にもリビングを

建築家のアイデア

敷地の特性を読み解き、気持ちのいい空間をつくる

Mさんが購入した建設地は、高度地区制限のある地域で、北側斜線が厳しい場所でした。その場合、片流れ・三角の屋根を作るのが普通なのですが四角い家がいいという要望があったんです。そのような制限と要望がある中で考えたとき、斜線制限にかからないように北側を開いて、2階の道路側にルーフバルコニーを設置し、アウトリビングとして手すりを立ち上げて、外観を四角く魅せる方法を思いつきました。ちょうど北側に旗竿地の通路があり、北側を開いたほうが抜けもでき、隣宅との間にも空間ができるので気持ちがいいかなと思ったんです。
アウトリビングと続くように2階をリビングにすれば、景観も望めます。

最初のヒアリングの前に、実際に建設予定地に行って敷地のいいところも悪いところも見ます。この敷地では、近くに緑地があり眺望も期待できるということがわかったので、北側斜線の影響や駐車場のことなどを考えると2階をリビングにしたほうがいいと考えました。リビングに座ったときに隣の家が見えるよりは緑が見えたほうが気持ちがいいですよね。生活していく上での感覚的な気持ちよさって大切だと思うんです。例えば、形であれば四角が好きだったり三角が好きだったり好みがありますが、感覚的な気持ちよさ――座ったときにどう感じるか、外でみんなで食事をすると気持ちいいとか、そういう感覚は共通だと思うんです。それは設計をする際に大事にしています。

暮らしの上で大切な感覚の心地よさ。それは、お施主さんの満足感にもつながっていきます。

人によって作りたい家は違います。ダイニングが必要な人もいれば、畳にちゃぶ台がいいという人もいますよね。見た目だけではなくて住む人がいかに気持ちよく満足して暮らせるかが一番大切ですよね。建築家が価値観を押し付けるのではなく、住む人が望む生活に対してベストな提案をする。そこはいつも心がけています。

建築家住宅の完成!

目を引く、潔い白いスクエアの外観。白と木目を基調とした中に黒やシルバーが光る、ぬくもりがありつつもシャープな家が完成しました。
1階は子供部屋や夫婦の寝室、水回りなどのプライベートな空間。キャンプ用品も収納できるシューズインクローゼットやウォークインクローゼットもあるので収納力は抜群。部屋をスッキリと整えることができます。2階はキッチンとリビングスペースをまとめた人が集う空間。窓からの光が壁を伝って家中にまわる明るい室内は、奥様の趣味である植物たちも気持ちよさそう。シンプルで使いやすい空間になりました。

リビングには勉強机も。キッチンが近いので、家事の合間に勉強を見ることもできる。
1階は子供部屋や寝室、水回りなど。窓からの光が回り込み、とても明るく開放感がある。
アウトリビングの先にも眺望が広がるので、リビングから広さを感じられる。家族みんなのお気に入りの場所に。

建築家住宅に住んでみて

「初回ヒアリングの前に建築家が建設予定地や隣地の状況などを現地で確認していたこと、そして、実際の打ち合わせでは家族構成や希望の間取りだけではなく、1日や週末の過ごし方、植物の量、老後や教育資金を鑑みたコストなど、ライフスタイル全体を細かくヒアリングしてもらったことにとても感激しました!」というMさん。実際に住んでみても不満はないという。

「不満を考えてみたんですけど本当になくて、すごく住みやすいんです。平野先生も完璧に近いものを仕上げてくださいましたし、私たちの希望も叶えてくださったと思っています。外観からは窓があまりない家に見えるかもしれませんが、実際に住んでみると窓の力を感じます。光がたくさん入り込んでとても明るいのですが、暑くないのもいいですね。ホームパーティーのときは、キッチンで料理をしてアウトリビングに運ぶのも簡単ですし、子どもがアウトリビングやリビングで遊んでいるのを見つつ、大人はキッチンカウンターに座りながら会話をすることもできます。」

時間によって、集う人によって表情を変え、それぞれが気持ちのいい時間を過ごすことができる家。ライフスタイルに合った住まいであれば、日々がより彩りそうです。

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