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景気回復が遂に始まった!次に良くなるのは労働条件で決まりです

景気回復が本番を迎えたと感じさせるニュースが伝えられました。給与のベースアップが自動車メーカーや電機メーカーをはじめとする大手企業で過去最高水準に達する模様です。

賃上げの波が訪れた「ベアの春」

<トヨタ、ベア過去最高水準4000円15年春季労使交渉 >
(2015年3月15日付日本経済新聞)
<日産、ベア5000円回答へ 製造業大手で最高水準>
(2015年3月17日付日本経済新聞)

「基本給のベースアップ」のことを指して「ベア」と呼びます。ベアが上がるということは毎月の給与が上がるということですから、ボーナスのように企業の儲けが一時的に支払われるものよりも安心感があります。家計も安定するので消費者心理としてもベアの方が嬉しいです。
トヨタでは非正規社員の日給が300円上がる見越しで、日産と共に過去最高水準のベアとなります。ベースアップの波は自動車や大手電機メーカーなどの製造業に止まらず、地方銀行や損保などにも及んでいます。日本企業のベアの発表を株式市場も好意的に受け取ったようで、日経平均が1万9000円を超えました。

<株式市場が「ベアの春」に沸く>
(2015年3月17日付日本経済新聞)
『16日の東京株式市場で、日経平均株価は4日ぶりに小幅反落し、前週末比8円19銭(0.04%)安い1万9246円06銭で取引を終えた。(中略)個別では「賃上げ」関連銘柄に投資家の買いが集まった。』

ベアにより消費が高まると企業の業績も増し、GDPが増大する。この循環がイメージできたことで、景気が本格的に上向くと判断され、約15年ぶりの日経平均株価1万9000円台超えという高値水準を叩き出したのでしょう。

「アベノミクスは失敗している」は正しいのか?

功を奏しているように見えるアベノミクスですが、「アベノミクスは失敗」と否定的な意見も聞かれます。
「大企業が潤っているだけ」
「政府が賃上げを要請したからだ。『官制春闘』であって企業による自発的な賃上げではない」
「給与が増えたところで、将来への不安から結局は消費を抑える」など。
国会でも次のような討論がありました。

『安倍首相は「賃上げは過去15年で最高水準となり、その動きは強く広がっている。動き始めた経済の好循環を拡大するためには、企業収益を拡大させ賃金上昇や雇用拡大につなげていくことが重要だ」と語った。一方、野党側は消費増税に伴う物価上昇で実質賃金が下がっているとして、経済政策「アベノミクス」に疑問を呈した。民主党の小川敏夫氏は「国民生活が豊かになったかどうかだ。国内の雇用者の所得の合計値である総雇用者所得が、14年12月が物価上昇の影響を除いた実質で0.4%減だったことから「実質では下がっている」と反論し「大企業の景況感はプラスだが、中小企業はマイナスだ。これで良くなっているといえるのか」と指摘した。首相は「全く間違っている。消費税率引き上げを除いてマイナスかプラスかを見るのは極めて重要だ」と強調した。小川氏は「5月になったら(数値を)聞きましょう」と矛を収めた。』(2015年3月17日付日本経済新聞より)

最後に「5月の数字でどちらが正しいか判断しましょう」という趣旨のやりとりがあります。特にどちらかの党に肩入れするつもりはありませんが、おそらくは安倍首相の見解に軍配が上がるでしょう。5月になって表れる中小企業の景況感などの数字や実質賃金、そして1月〜3月のGDP成長率は現状よりも上昇していると確信できるからです。

業種を問わず労働力の確保が課題となる

現在は多くの業界で有効求人倍率が1倍を超え、人手不足の状況に直面しています。失業率に至ってはずっと3.5%程度を維持しています。一般的には失業率が持続的に4%を下回ったらほぼ完全雇用状態にあるとされ、次の動きとしては賃金の上昇が予測されます。失業者の推移を辿ると、2011年1月に320万人だったのが2014年9月には240万人程度まで減少しており、3年半の間で約80万人について改善がみられました。これを受けて安倍政権が「100万人の雇用増はアベノミクスの成果」と表明したところ、野党からは「非正規雇用が増えただけだ」との批判が上がっています。個人的には「給料がもらえるなら非正規でも働けた方が良いし、景気回復に伴って労働条件の向上も期待できるだろう」と思っていたところ、次のような記事を見つけました。

<パートにも定期昇給/スーパーのライフ、人材確保狙い導入>
(2015年3月12日付朝日新聞)
『食品スーパー大手のライフコーポレーションは、パート社員約2万人を対象に、毎年賃金が上がっていく定期昇給(定昇)を5月から始める。正社員だけでなくパート社員にも定昇を導入するのは珍しい。小売業界は人手不足が続く。非正社員の待遇を改善して優秀な働き手を引き留めようとする動きが広がり始めている。』

パートなどの非正規社員にも定期昇給を導入するという記事です。ライフの他にも三越伊勢丹ホールディングスが4月から同様の対策を始めます。内容は時給で働く契約社員の時給引き上げ幅の拡大や、収入面での改善を図るため月給制の社員を増やすなどの取り組みです。

このような動きがなぜ今起こっているのでしょう。答えは労働力を確保するためです。元々は製造業から始まったものが、小売業やサービス業にまで及んでいます。まだ定期昇給や時給の引き上げに止まっている企業も、そのうち人手の奪い合いに負けるまいと正社員化へと進む可能性があります。先駆的にユニクロが行ったようにです。人材を引き止める意味でも、新たな人手を獲得する意味においても、待遇の改善は至極真っ当な手段だと言えます。

景気回復と労働条件の改善は連動して起こるもの

これまで「賃金の問題も雇用の問題も景気が大きく作用します。そして景気は一気に回復するものではありません。時間がかかるものです。」と事あるごとに述べてきました。しかしようやく時期が来たと感じています。

とは言え、企業も慎重です。いきなり正社員を大量に雇い入れることはしません。20年来の不景気の煽りを受けて来たのですから、一度上げたら下げるのが難しい賃金アップの動きを渋るのは当然の反応です。

景気が良くなり業績も上向きになりつつある段階では、まだ給与を上げる動きには出ないはずです。なぜならこの段階で引き上げても、生産やサービスが大きく向上することに直結しないからです。ひとまずは残業で凌げるか試したあと、派遣やパートなどの非正規雇用者の新規採用に取り掛かります。それが現在のように失業率が下がった状態、つまりは完全雇用状態が続くと人材の奪い合いが始まるので、ここでようやく正規雇用や賃上げの動きに出るわけです。今がちょうどこの段階です。

正規雇用が当たり前だった団塊世代が定年で去り、その代わりに非正規雇用の多い若年層が増えたことで、一人当たりの賃金は減りました。一方で総務省の統計によると、2012年から事業者が雇用者に対し支払っている給与の総額は上昇しています。(総務省:名目雇用者報酬)何が起こっているのかというと、2014年の7月〜9月を境に非正規雇用が減り、正規雇用が増えだしたのです。具体的にはそれまで5〜6%で上昇していた非正規雇用者数の伸び率が2%まで鈍化し、それを補うようにしてマイナス2%の伸び率だった正規雇用者数がプラスに転じました。

日本の未来にも光が射してきたと思いませんか?格差社会と言われて久しいですが、完全雇用状態が続くことで給料が上がり、格差も縮まっていきそうです。

労働条件を良くするためには、業績が良くなくてはならない。
雇用が増えるのは、景気が回復し手に負えないほど業績が伸びた時。
労働条件が改善されるのは、雇用が増えて企業が人材確保に動いた時。

それぞれ一文にしてしまうと、ごく当たり前の話だというのが伝わるでしょう。

問題なのが消費です。継続的な賃金の上昇が見通せないと、どうしても消費行動は控え目になってしまうものです。企業に稼ぎを持続できるだけの体力があれば、賃上げに伴って経済もうまく回り続けることでしょう。それを支えるのもまた、皆さんです。明るく頑張って自分らしいライフプランをぜひ見つけてください。

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※当コンテンツに記載されている内容については、現在は終了している制度や古いニュースも含まれております。あくまでご参考いただくものでございますので、実際に住宅購入・ライフプランを検討される場合は、現在の情報をご自身で確認の上ご判断ください。